訪問日:2022年9月3日(土)
高森田楽とは
熊本県阿蘇郡高森町に伝わる郷土料理「高森田楽」。
「田楽」は串に刺した材料に味噌を塗り、囲炉裏の炭火の横に立てて焼くのが特徴で、高森に限らず日本各地に伝わっている歴史ある料理。
平安時代に農村では田植えの時期などに太鼓の音に合わせて田んぼで踊る「田楽舞」という風習があったそうで、これを生業とする田楽法師が、いつも白い袴に色付きの上着を着て一本棒に乗って踊っていたそうです。
その姿が白い豆腐の上に味噌をのせて串で焼いた豆腐料理と似ていたため、これが「味噌田楽」や「田楽」と呼ばれるようになったといわれています。
了蓮寺から出てきた文献によると、高森では今から700年前には田楽が食べられていた記録が残っているとのこと。
「高森田楽」の大きな特徴が、素材の一つに「鶴の子芋」があること。
「鶴の子芋」は里芋の一種で、細く出っ張ったような独特の形が鶴の首に似ていることが名前の由来だそうです。
こちらは火山灰土壌のやせた土地にしかできない作物で、米、麦の栽培が困難だった高森町色見地区では主食として食べられていたといわれています。
高森田楽保存会

今回高森田楽を食べに訪れたお店が『高森田楽保存会』。
戦後には鶴の子芋を栽培することや、田楽を食べることが徐々に減っていったそうで、地域の食文化を守ろうという思いから、有志が集まり1960年に生まれたのが『高森田楽保存会』だそうです。
最初はイベントなどで地域外の方にふるまっていたそうで、昭和40年代中頃に今の店舗という形になったとのこと。
アクセス
混雑状況
予約が出来るので、今回は1週間前に電話予約してからの訪問。
この日は土曜日、お店には予約時間の11時に到着。
開店時間直後ということもあって、この時店内には同じ時間に2組入っただけで空いていました。
メニュー・商品ラインアップ

メニューは田楽のコースと、他にも川魚やたけのこの刺身や、肉類の串焼きなどの単品がありました。
今回はコースを注文。
感想





【高森田楽コース】2500円(税込)
《内訳》
・こんにゃくと野菜 1串
・お豆腐 1串
・鶴の子芋 1串
・山女魚 1串
・生揚げ 1皿
・とうきびご飯
・香のもの
・山菜だんご汁
山女魚は塩焼きで、それ以外の田楽は味噌が塗られているので、その味噌が乾くくらいまで焼き、クルクル回さずにじっと待つのが良いとのこと。
元々高森で田楽が食べられ始めた頃は芋と豆腐が主流だったそうで、高森田楽保存会が立ち上げられた当時も「鶴の子芋」だけを提供していたそうですが、1970年頃に熊本市内での特産展に地元から参加した際、当時の商工観光課長との会話の中で「田楽に山女魚を取り入れてはどうだろうか」と提案があり、山女魚の塩焼きがメニューに加えられ、大人気商品になったそうです。
大体20分くらい焼いたくらいで全体的に味噌がカラッとしてきたのでいただきました。

豆腐はかためタイプで、外は温かいですがちょっと中心の方はまだぬるかったので、もう少し焼くべきでしたかね?
しかし自家製という甘めで重厚な味わいの味噌が美味しいです。

ピーマンはシャキッとした食感で、芋はほんのり甘くホックリとした食感。

山女魚は皮がパリッと身はフワフワ、しっかりめの塩加減が美味しかったです。
郷土料理のだんご汁が付いているのも嬉しいですね。
モッチリとした生地に優しい味噌味で美味しかったです。


同行者は若鶏と親鶏の単品を注文したので少し味見させていただきましたが、若鶏は柔らかく、親鶏はかためで歯応えがあり、旨味が強くて特に好みでした。

囲炉裏で田楽が焼ける匂いが漂う風情のある座敷席に、窓が全開ですぐ近くに自然を感じられる素晴らしいロケーションも魅力的。
待っている時間も贅沢で最高でした。
ただ、途中スズメバチのようなヤバそうな虫が入ってきたのは面白かったです。笑
訪問時は9月だったので快適な気温でしたが、夏場や冬場はどんな感じなのか気になります。
囲炉裏が温かいので冬はいけそうですが、夏場はエアコンがないと結構暑いかもしれません。
ご馳走様でした!
公式サイト等
公式サイト
食べログ
高森田楽保存会
0967-62-0234
熊本県阿蘇郡高森町大字上色見2639
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