訪問日:2025年4月25日(金)
蘇(そ)とは
飛鳥時代から作られ始めたといわれており、「古代のチーズ」とも称される、牛乳を煮詰めた加工品『蘇(そ)』。
見た目はキャラメルのようで、素朴な味わいが特徴。
牛乳は孝徳天皇時代(645~654年)に渡来人によって献上され、日本での飲用が始まったといわれており、中国の医学書によって牛乳や乳製品の薬餌等の効用は上流階級に浸透し、乳牛の飼育と搾乳を行う「乳戸(にゅうこ)」という役職がつくられ、「典薬寮(てんやくりょう)」という医療関係の品部(組織)に所属していたそうです。
蘇が初めて記録に登場したのは古代の法典「延喜式(えんぎしき)」や政務運営に関する事例を掲げた「政事要略(せいじようりゃく)」で、それらには各地で蘇をつくり宮中に納めさせる制度「貢蘇制度」についての記載があるとのこと。
当時の蘇は貴族や官人など身分の高い人々しか食せない高級食材で、正月に行われる宮中の仏教行事に供物やお布施として利用されたり、正月の祝宴では蜜と甘栗とともに酒の肴や点心(菓子)として利用されたそうです。
保存が効き、美容や病にも良いとされ、ミネラル・ビタミン不足から起こる疾病の治癒や、体力回復の薬餌(やくじ)として利用されていたそうで、藤原道長が51歳で大病を患った際には蘇と蜜を合わせた「蘇蜜煎」を服用したといわれています。
蘇の製法については不明な部分が多いようですが、「延喜式」には生乳一斗を煮詰めると一升の蘇が得られる旨の記述があるそうで、牛乳をおよそ1/10の量になるまで煮詰めて固めたものと推測されているようです。
1987年に「奈良国立文化財研究所 飛鳥資料館」で奈良県の「西井牧場」の生乳を使って再現したことをきっかけに商品化され、現在ではいくつかのメーカーによって『蘇』が製造されています。
みるく工房 飛鳥


今回訪れたのは、奈良県橿原市南浦町にあるソフトクリームなどが人気のお店『みるく工房 飛鳥』。
こちらは上述の通り、蘇の再現に携わった「西井牧場」が運営するお店のようで、現在でも『飛鳥の蘇』という商品が販売されています。
アクセス
混雑状況
この日は平日の金曜日、お店には10時過ぎに訪問。
この時先客はおらず私のみでした。
メニュー・商品ラインアップ



店内には簡易のイートインスペースがある感じ。
ソフトクリームも気になりましたが、この時少し寒かったので、結局『飛鳥の蘇』のみテイクアウト購入。
要冷蔵で期限は一週間とのこと。
感想




【飛鳥の蘇80g】1188円(税込)
箱を開けると牛乳の甘い香りがほんのりと広がります。
今回はそのまま食べましたが、ケーキやソフトクリームなどのスイーツや、食事に添えて提供されることもあるそうです。
伸びはなくしっかりかためのチーズのような質感で、ザラリとした舌触り。
確かに濃縮された牛乳のような濃い味わいがあるものの、チーズのような独特の酸味や芳醇さはなく素朴な感じ。
原材料は国産生乳100%と書いていたと思いますが、甘さはそんなになくて塩気が結構しっかり効いているのが意外で、不思議な美味しさでした。
また次回はソフトクリームも食べに行きたいと思います。
ご馳走様でした!
公式サイト等
https://www.instagram.com/asuka_nishii_milk
食べログ
みるく工房 飛鳥
0744-22-5802
奈良県橿原市南浦町877
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