訪問日:2025年7月6日(日)
フルーツ王国として知られる「山梨県」
山梨県では様々な果物が作られていて、特に「ぶどう」、「もも」、「すもも」は生産量日本一。
細長い平地を除いて傾斜地が多い複雑な地形であることや、降水量が少なくて日照時間が長く、昼夜の寒暖差が大きいこと、四方を高い山々に囲まれているため季節風の影響を受けづらく、大気が乾燥がちであること、土壌が沖積層・洪積層に覆われて肥沃であることなど、山梨県には果物栽培に適した条件が沢山揃っているようです。

江戸時代には「ぶどう」、「なし」、「もも」、「かき」、「くり」、「りんご」、「ざくろ」、「くるみ(または銀杏)」といった、甲斐国の代表的な8種類の果物を総称して「甲州八珍果」と呼ばれ、古くから果物栽培が盛んな地域と伝えられていたとのこと。
「桃」の歴史

桃の原産は中国西北部の黄河上流の高山地帯といわれており、裴李崗文化(約7500年前)において出土が確認されているとのこと。
ここからアジア各地へと広まり、日本にも相当古い時代に渡来したと考えられていて、最古の記録では長崎県の多良見町にある伊木力遺跡から縄文時代前期(約6000年前)の桃核が出土し、古事記や日本書紀にも記載があるそうです。
中国では桃を食べた仙人が不老不死となった説話があることから「仙果」とも呼ばれるそうで、日本でも鬼を恐れさせるといわれ、これが昔話「ももたろう」に繋がったという説もあるとか。
昔の桃は現在のものとは異なり、そんなに甘くなくてサイズも小ぶり、かたくて果汁も少なかったそうで、食用以外にも薬用・観賞用として用いられたようです。
明治時代には、甘味の強い上海種と天津種などの水蜜桃系が輸入されて食用として広まり、現在日本で食用に栽培されている品種はこの水蜜桃系を品種改良したものがほとんど。
明治32年(1899年)に岡山県磐梨郡可真村の大久保重五郎が上海種の実生から優秀な品種を発見したという「白桃」が「日本のももの元祖」といわれています。
さらに改良を進めて1927年には新品種「大久保」を誕生、その後「白鳳」や「あかつき」、「川中島白桃」といった日本を代表する品種が次々と誕生したとのこと。
山梨県では2000年以上前の弥生時代の南アルプス市の大師東丹保遺跡から、山梨最古の桃とぶどうの種が発見された記録があるそうです。
現在山梨県は桃の栽培面積、生産量ともに都道府県の中で日本一、7月の東京中央卸売市場では山梨県産のももが約80%を占めるそうです。
主な生産地は山梨市、甲州市、笛吹市、南アルプス市などで、特に笛吹市は桃・ぶどう共に生産量日本一。
最も生産量が多い品種である「白鳳」をはじめ、「ちよひめ」、「日川白鳳」、「夢桃香」、「夢みずき」、「浅間白桃」、「なつっこ」、「川中島白桃」、「幸茜」など多岐にわたり、品種によって旬の時期は異なるものの、収穫時期は6月中旬から9月頃、旬のピークは7月~8月だそうです。

山梨の桃自体は全国に出荷されていますし、桃を使ったスイーツなどはどこでも楽しめますが、桃の時期の山梨で見られるたくさんの果実が実った桃畑は圧巻の光景で、桃狩りなども楽しめます。
また山梨県には直売所や農家直営のカフェなども多いので、高級な桃やぶどうをお手頃価格で楽しめるのも魅力的です。
PESCA-SHOP(ぺスカショップ)

今回訪れたお店は、山梨県山梨市にある農家直営のお店『PESCA-SHOP(ぺスカショップ)』。
こちらは1968年に創業した「株式会社内藤農園」が畑の一角にオープンしたお店。
桃を使ったパフェやかき氷などのスイーツをはじめ、ピザやパスタなどのフードメニューも楽しめ、桃狩りや桃食べ放題なども開催しています。
2013年のオープン当初は「Green Table Cafe」という名前だったそうですが、様々な過程を経て現在の『PESCA-SHOP』になったとのこと。
毎年桃のシーズンを中心に期間限定で営業しており、2025年の営業期間は5~10月。
お店のInstagramによると、フルーツの収穫時期によって以下のようにメニューが変わるようです。
【5月〜6月中旬】桃ジャムのピザやあんぽ柿のピザ この期間限定のお得なランチセットなど
【6月下旬~8月下旬】白桃
【8月下旬〜9月上旬】葡萄
【9月上旬〜9月下旬】黄桃×シャインマスカット
【10月】柿や野菜を使った秋を感じるメニュー
桃を楽しめるお店はこの時期大混雑ですが、こちらのお店は完全予約制で営業しているので、旅行の際など予定を立てやすいのがありがたいポイント。
3日前までは公式サイトからネット予約ができますが、2日前までは電話やInstagramのDMで予約で受け付けています。
今回は前日に電話予約をしてからお店に行ってきました。
アクセス
場所は東山梨駅から徒歩18分くらいの距離。
駐車場は店舗前にありました。
混雑状況
この日は日曜日、お店には予約時間の14時半に到着。
前日に電話予約したところ、一番早い空き時間でこの時間でした。

この時店内は結構空いていましたが、この後すぐに客入り7割くらいまで増えた印象。
ちなみに基本は完全予約制で営業しているものの、空き状況によっては予約無しでも利用可能だそうです。
メニュー・商品ラインアップ





メニューは公式サイトにも掲載されているので事前に予習も可能。


店頭限定で規格外の桃の販売も行っていましたが、とにかく安くて驚きです。
今回は同行者と2人での訪問なので、パスタ、ピザ、かき氷を注文し、シェアしながらいただきました。
感想

【ジュエリーピーチと生ハムの冷製パスタ】1695円(税込)
桃と生ハムをたっぷりトッピングし、パスタソースもジュエリーピーチネクターを使用して作ったという冷製パスタ。
大人気のメニューだそうで、今年は桃が倍量になったとのこと。

ちなみにこの時の桃は「加納岩白桃」という品種。
桃は甘さも香りも強く、果汁たっぷりで柔らかジューシー、そして桃の果肉は本当にゴロゴロ入っていてとても贅沢。
生ハムは旨みが濃く、桃の甘さで塩気もマイルドになり、お互いの美味しさを引き立てる絶妙の組み合わせ。
パスタはモチモチとした平打ち極太で、ソースはあっさりとフルーティ、ほんのり黒コショウとチーズが香る洋風の味付け。
桃の味が中心ではあるものの、見た目ほど甘々したパスタではなく、とても美味しかったです。

【ジュエリーピーチとゴルゴンゾーラのピザ×ジュエリーピーチジャムとミックスチーズのピザ(ハーフ&ハーフ)】2237円(税込)
高い方の「ジュエリーピーチとゴルゴンゾーラのピザ」の価格になるので割高ですが、桃のピザ2種類はハーフ&ハーフが可能。
「ジュエリーピーチとゴルゴンゾーラのピザ」は1枚に桃を丸々1玉使用し、ゴルゴンゾーラと組み合わせているとのこと。
チーズの油と桃の果汁が溢れてとてもジューシーな口当たり、濃密な桃の甘さにゴルゴンゾーラの塩気とクセのある風味は意外にも相性が良く、こちらも絶品。
「ジュエリーピーチジャムとミックスチーズのピザ」は生の果肉は乗っておらず、少しコンポートっぽいものが混ざっている感じ、チーズは濃厚でまろやかな味わい。
こちらも美味しかったですが、やはり「ジュエリーピーチとゴルゴンゾーラのピザ」の方が桃をガッツリ堪能でき、ゴルゴンゾーラもインパクト大の味わいで、特に好みでした。
サイズは20cmくらいで十分な大きさがあり、デザートピザのような感じではなくてちゃんと食事として楽しめるピザでした。

【ジュエリーピーチかき氷】1188円(税込)
こちらも桃を丸々1玉使用しているそうで、かき氷のシロップやクリームにも桃を使った桃づくしのかき氷になっているとのこと。
上にトッピングされた桃は巨大でかき氷と一緒に食べるには大きすぎる印象、そしてかき氷シロップは少し薄めで、氷はガリガリとした粗目の質感、正直最初はちょっと微妙かも…と思いました。
しかし底には食べやすい細かな果肉がたっぷり入っていて、これを氷と共に食べると激ウマです。
桃によってはかき氷などと食べると冷えすぎて甘さがぼんやりすることがありますが、こちらの桃はキンキンに冷えても甘くて濃密な味わい。
そしてクリームもフルーティで、これとともに桃果肉と氷を一緒に食べるのはとても贅沢な一口でした。
かき氷は最初が美味しくて、後はビチャビチャになって薄まるみたいなパターンが多いですが、今回は後から美味しさが増すという珍しいパターンでした。笑


席が野外しかないのでとても暑いですが、桃畑を眺めながら桃を楽しめるのは農家直営店ならではの魅力。
風が吹くと涼しいですが、止むとやはり暑く、充電式の扇風機を持っていくと快適に過ごせたのでおすすめです。
かき氷は全身がキンキンに冷えるので、むしろこれくらい暑い方が美味しく楽しめるかもしれません。
ご馳走様でした!
公式サイト等
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食べログ
ペスカショップ
0553-34-9030
山梨県山梨市三ヵ所185-1 やまなし内藤農園
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