訪問日:2023年12月29日(金)
明石焼とは
兵庫県明石市のご当地グルメ・郷土料理の代表格「明石焼」。
地元の明石では古くから「玉子焼」と呼ばれ親しまれているそうですが、昭和63年頃に市の職員が明石の町のPRになるようにと「明石焼」と名付け、その名前が各地に広まっていったとのこと。
小麦粉、じん粉(小麦粉のデンプンを精製したもの)、卵、出汁を混ぜた生地にタコを入れて焼き、かつおや昆布の出汁に浸して食べるのが定番のスタイル。
見た目は大阪名物の「たこ焼き」にそっくりですが、そもそも「明石焼」は「たこ焼き」のルーツになった料理の一つといわれています。
昭和初期に大阪では「ラジオ焼き」と呼ばれる小麦粉を主体とする生地にコンニャクとスジ肉を入れて焼いたものが食べられていましたが、訪れた客の「明石ではタコが入っている」という一言にヒントを得て、タコ入りのラジオ焼きを作ったところ瞬く間に大人気となり、「たこ焼き」として広まったそうです。
見た目は似ているものの実際は違いも多くあり、代表的なものが以下の通り。
・鶏卵を多量に使うため生地の色味が黄色。
・小麦粉以外に浮粉(じん粉)を使うので生地が非常に柔らかい。(小麦粉または浮粉を全く配合しないお店もあり。)
・コンニャクや紅ショウガなどが入らず、具材はタコのみ。
・鉄製ではなく熱伝導の良い銅製の焼き鍋を使い、くぼみはたこ焼き用よりも浅いため球形ではなく楕円形に焼き上がる。
・銅製の焼き鍋を傷つけないよう、金属製の道具を用いず、菜箸を使って玉を返す。
・たこ焼きは串でくるくる何度も返す、明石焼は箸で数回返すのみ。
・ソースではなく昆布や鰹節などで取った出汁に浸して食べるのが基本。(味変にソースを提供しているお店もあり。)
・提供時に明石焼はあげ板に乗せる、たこ焼きは舟に入れる。
明石市の公式サイトによると、「明石焼」が誕生するきっかけになったのは、江戸時代の末期から明石の重要な産業の一つとして作られてきた「明石玉」。
江戸屋岩吉という江戸のべっ甲職人が明石に滞在中、土産にもらった卵を着物のふところに入れていたところ、その卵が割れて寒さのために白身が固まってしまったそうです。
それをヒントに研究を重ね、高価な珊瑚(さんご)の代わりに、卵の白身を接着剤に硝石などを固めた模造サンゴ「明石玉」を作り上げ、かんざしなどに使われる人気商品になったそうです。
その時に出た玉子の黄身の余りと小麦粉を使い、明石でたくさんとれるタコを入れて出来上がったものが「明石焼」のはじまりだといわれています。
「明石焼」の「商売」としての始まりは、大正8年に現在の樽屋町に住んでいた向井清太郎さんが屋台で売り始めたのが最初という説があるとのこと。
当時は玉子が高級品で気軽に食べられるものではなく、現在の10個や20個という大きな単位ではなくて数個ずつバラ売りされていたそうです。
そのため戦前までは明石焼は冷たいのが当たり前だったそうですが、戦後になってからは注文を聞いて焼きたてを作るようになった為、温かい明石焼を販売するようになったとのこと。
しかしある時熱々の明石焼を食べたお客さんが口の中を火傷してしまい、なんとか熱いものを早く食べる方法はないかと考案されたのが「冷たい出汁につけて冷やす」というスタイル。
老舗など冷たい出汁を提供しているお店も残っていますが、現在では温かい出汁につけるお店が多いそうです。
Wikipediaによると、温かい出汁は1963年頃に神戸元町の店が始めたのが最初という説があり、出汁に薬味として三つ葉を浮かべるのもこちらのお店から広まったスタイルだとか。
現在明石市内には約70軒の明石焼を売るお店があるといわれています。
ふなまち
今回訪れたお店が、兵庫県明石市材木町にある、行列が出来る人気店『ふなまち』。
創業は1958年という情報が出てきました。
2024年10月に確認した時点で、食べログの「明石焼き」ランキングで日本一、明石市内の全ジャンルを含めたランキングでも4位という高評価。
明石焼のお店の中で一番行ってみたかったお店で、今回初訪問です。
アクセス
場所はJR・山陽電車「明石駅」から徒歩約15分の距離。
駐車場は店舗付近に5台分ありますが、満車の場合はコインパーキングになります。
混雑状況
この日は年末の平日金曜日、お店には12時10分頃に到着。
この時満席で、外待ちは17人となかなかの行列、流石年末ですね。
席数はそんなに多くないのと、持ち帰りの注文が結構入っているみたいで、受け取りに来る方が頻繁に訪れていた印象。
店内飲食まで1時間10分くらいかかったので、待ちたくない方は電話予約&テイクアウトがオススメかもしれません。
メニュー・商品ラインナップ
公式サイトによると、平日と休日でメニューが異なるようで、この日は「玉子焼」のみの休日メニューでした。
ちなみに平日メニューには「玉子焼」の他に「お好み焼き」、「そば焼き」、「モダン焼き」、「オムソバ」などがあるようです。
今回は『玉子焼20個』を注文!
感想
【玉子焼20個】750円(税込)
こちらのお店の出汁は冷たくて、薬味は何も入ってないタイプ。
写真は撮っていませんが、卓上には甘口・辛口ソース、青のり、カツオ粉、七味、一味、焼塩などの味変アイテムが充実しています。
まずはそのままで食べてみました。
プルン、トロンとした柔らかな食感、まろやかな玉子の味わいをメインに、優しいお出汁の旨味とほんのり焼き目の香ばしい風味が広がり、このままで十分すぎる美味しさ。
出汁に浸すと、軽くつけるだけならまだ中が熱々で、たっぷりヒタヒタに浸すと、食べやすい温度に冷めて更にとろける柔らかな食感に。
タコは特別大きいわけではなく標準サイズですが、プリコリの弾力が楽しめてとても美味しいです。
残り10個はソースなどいろいろ味変しながら楽しみましたが、青のりやソースをかけるとだいぶたこ焼き寄りの味になるものの、ネギや生姜などの具材はないので、だいぶあっさりめのたこ焼きという感じになりました。
やっぱりそのままを出汁に浸す王道スタイルが一番好みという結果でした。
20個は結構食べ応えがあり、750円は比較的お手頃価格、味も美味しくて、明石焼のお店の中で特にお気に入りになりました!
ご馳走様でした!
公式サイト等
公式サイト
食べログ
ふなまち
078-912-3508
兵庫県明石市材木町5-12
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