訪問日:2023年11月6日(月)
うなぎパイ・春華堂
静岡県浜松市のお土産として全国的な知名度を誇るお菓子「うなぎパイ」。
製造販売を行っているのは「春華堂(しゅんかどう)」というお店。
創業者は今の静岡県藤枝市と静岡市の間にある「宇津ノ谷峠」にて江戸より茶屋を稼業とした家に産まれ、1887年に故郷を離れて浜松へ渡り、当時浜松の寺院でお歳暮として配られていた「浜納豆」に着想を得た「甘納豆」を売り始めたのが「春華堂」の始まりだそうです。
1889年に東海道線開通と同時に浜松に店舗を構え、その後2代目がタマゴからヒントを得てタマゴ型最中「知也保(ちゃぼ)」を創作、1949年に浜松市鍛治町3丁目にて「有限会社 春華堂」設立。
現在看板商品になっている「うなぎパイ」は、「甘納豆」と「知也保」の2つの看板商品に続き、それすら超える浜松らしいお菓子をつくりたいという想いから、2代目が1961年(昭和36年)に考案。
当時浜松はまだ知名度がなく、有名なのは浜名湖だったことから、浜名湖特産の「うなぎ」をテーマにしたお菓子をつくろうと、職人たちと試作を開始。
試作の第1号となったのは、当時まだ珍しかった「パルミエ」というフランス菓子のパイを基本にしたもの。
うなぎのイメージで生地を細長くしたり、頭をひねったり、蒲焼き風に串を刺したり、様々な失敗を繰り返した上で現在の「うなぎパイ」の形状が完成、実際の蒲焼きさながらにタレを塗るという工夫も施されたとのこと。
お菓子ではまず使用することのないガーリックが入ったタレは社内でも秘伝として、今なお一部の職人のみに伝えられているそうです。
販売開始後間もなく「鉄道弘済会(現キヨスク)」が販売を請け負い、予想外の反響に量産体制を導入、以後5年間は東海道新幹線・東名高速道路の開通など高度経済成長と相まって売り上げもまさしく「うなぎのぼり」になり、1966年には製販分離を目的に浜松市神田町に「株式会社うなぎパイ本舗」を設立。
「うなぎパイ」は「夜のお菓子」というキャッチフレーズでも知られていますが、これは「一家団欒のひとときをうなぎパイで過ごしてほしい」という願いのもと2代目が考案。
しかし当時の浜松の夜の繁華街は全国屈指と呼ばれ賑わっていた時代であり、精力増強のうなぎと結びつけて間違った解釈をした人も多かったそうです。笑
しかし「うなぎパイ」6本分に含まれるビタミンAは蒲焼100gに含まれる分に相当し、元気回復、夏バテ対策、視力保持などの効果が期待できるそうで、実際に栄養価の高いお菓子としての一面も持っているとのこと。
パッケージに関しても発売当初は浜名湖の水をイメージした青色を基調としたものだったそうですが、お客さんの解釈を逆手にとり、当時の栄養ドリンクカラーであった赤と黒と黄色の3色を基調としたものに切り替えたところ、ますます好評を得ることになったそうです。
1970年には東名高速道路開通記念として限定で販売された「うなぎパイ ナッツ入り」、1993年にはより手軽に楽しめるようにと「うなぎパイ ミニ」、そして元祖を超える最上級のうなぎパイをという思いから「うなぎパイV.S.O.P.」が発売されるなど、様々な姉妹品も誕生。
店舗は浜松市中央区鍛冶町にある本店の他、2024年6月に春華堂の公式サイトを確認した時点で、浜松市内に「佐鳴湖 パークタウン店」、「佐藤店」、「遠鉄百貨店SHOP春華堂」、「SWEETS BANK SHOP春華堂」、「うなぎパイファクトリー」、「nicoe SHOP春華堂」を展開。
また「春華堂」の別ブランドとして「coneri」、「五穀屋」や、「cacao lab.」、「nicoe」、「SWEETS BANK」という施設もあるようです。
うなぎパイ取扱店も東京の百貨店や中部国際空港、名古屋市内の駅や百貨店などに数多くあるとのこと。
うなぎパイファクトリー
今回は浜松市中央区大久保町にある、2005年3月に新工場として稼働し、4月から一般の見学を受け入れ始めた施設『うなぎパイファクトリー』へ行ってきました。
こちらでは職人とのふれあいをテーマに、うなぎパイの美味しさの秘密や安全で安心な商品を提供するための製造工程を見学でき、オリジナルメニューが楽しめるカフェや「春華堂」の売店も併設されています。
以前も行ったことがあるのですが、前回は製造ライン稼働日ではなかったため、改めて見学に再訪。
予約制の「窯出しうなぎパイツアー」もありますが、製造ラインの見学や展示を見るだけなら予約不要で無料で楽しめます。
営業情報は公式サイトのカレンダーにスケジュールが掲載されているので、事前に確認してから行く方がいいと思います。
そして見学の受付書類を記入すると、工場見学記念としてうなぎパイがもらえます。
見学を楽しんだ後は併設された『UNAGI PIE CAFE』へ行ってきましたが、実は今回こちらのカフェが本命。
うなぎをモチーフにしたパフェや、う巻き風にうなぎパイをクレープに包んだものなど、うなぎパイを使った様々なオリジナルスイーツが楽しめるのが魅力的。
混雑状況
この日は平日の月曜日、カフェには15時過ぎに訪問。
この時先客は1組のみで空いていました。
メニュー・商品ラインナップ
今回は「うなぎパイの”う巻き”仕立て」と「うなぎパイのミルフィーユ仕立て」を注文しましたが、前回訪問時に食べた「”まるで”うなぎパフェ」も一緒に感想を書こうと思います。
感想
【うなぎパイの”う巻き”仕立て】850円(税込)
(メニュー説明)
うなぎパイとアーモンドクリーム、バナナを包んだクレープロール。うなぎパイのサクサクの食感と濃厚なアーモンドクリーム、そしてバナナの甘みの組合せが絶妙です。
パット見玉子焼きにしか見えませんが、ちゃんとスイーツです。
薄皮のクレープに香ばしいアーモンドクリームがたっぷり入り、しっかり食感のバナナ、サクッとしたうなぎパイの食感と甘さが良いアクセントになって、素晴らしいハーモニー。
正直面白さだけで注文しましたが、期待を遥かに超える美味しさでした。
【うなぎパイのミルフィーユ仕立て】1000円(税込)
(メニュー説明)
うなぎパイミニと自家製ジェラートが楽しめる人気のデザート。濃厚なマロンクリームをモンブランに仕上げました。
季節によって異なるようで、前回5月に来た際はイチゴ、今回の11月はモンブランでした。
抹茶粉末は軽めにかかっていますが見た目以上に香り高く、濃厚なバニラアイスにサクサクパリパリ食感で香ばしくコクのある甘さのうなぎパイが相性抜群。
マロンクリームはねっとりなめらかな口当たり、濃厚ながら甘さは丁度良く、こちらも美味しかったです。
【”まるで”うなぎパフェ】1400円(税込)
(メニュー説明)
夜のお菓子うなぎパイミニをうなぎのヒレに、チョコレートアイスをうなぎの頭に見立てたキュートな見た目が印象的なパフェ。山梨県在住の小学生が、浜名湖に住む生き物やうなぎを学び、うなぎパイをイメージして考案してくれました。
白いのは全部生クリームで、中にはバナナとオレンジ、イチゴソース、あとカリサクの生地が入っていました。
クリームやアイスとうなぎパイの相性の良さは上述の通りですが、驚いたのがこのうなぎの頭の黒いチョコレートアイス。
まるでアイスとは思えないくらいチョコの味わいがガツンと濃厚で激うま!
見た目も可愛くて味も絶品、素晴らしいパフェでした。
うなぎパイそのものが本当に美味しいので、スイーツにアレンジしてもやはり間違いないですね。
春華堂はうなぎパイだけでなく、ケーキやクリームを包んだ生チョコ「カカオの雫」も大好きなので、浜松に来たら毎回寄りたいお店。
次回は他のグループ店にも行ってみたいと思います。
ご馳走様でした!
公式サイト等
公式サイト
https://www.unagipai-factory.jp
食べログ
うなぎパイカフェ
053-482-1765
静岡県浜松市中央区大久保町1347-5 うなぎパイファクトリー
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