訪問日:2025年7月11日(金)
三輪素麺とは
奈良県桜井市を代表する名物「三輪素麺(みわそうめん)」。
そうめんが有名な地域は播州(兵庫)、小豆島(香川)、島原(長崎)、半田(徳島)など日本各地にありますが、発祥の地は奈良県桜井市が有力な説といわれています。
三輪にある日本最古の神社「大神(おおみわ)神社」には、今からおよそ1200年余り前、大神神社の第12代宮司の次男穀主朝臣が三輪の里に小麦の種を撒き、実った小麦で初めてそうめんを作り、飢饉に苦しむ人々を救ったという伝説があるとのこと。
今でも大神神社祭神は素麺の守護神とされており、その年の三輪素麺の卸値を占う祭典「卜定祭(ぼくじょうさい)」が大神神社で営まれています。
そうめんは奈良時代に唐から伝来した唐菓子の一つ「索餅(さくべい)」が原形といわれており、これは小麦粉をこねて細長くし、縄のようによじったもの。
鎌倉時代になると中国から碾臼が入ったことから製粉技術が向上し、油を使って麺を伸ばす製法が取り入れられ、現在のような細くて長い形状になり、室町時代の頃にはほぼ製法が完成して「素麺(そうめん)」という呼び名に変わっていったとのこと。
江戸時代になると大神神社の門前町だった三輪はお伊勢参りの宿場として栄えるようになり、「三輪素麺」は訪れた人々を魅了し、当時の各地の名産品を紹介した書物「日本山海名物図会」において「三輪素麺は日本一」と絶賛されているそうです。
桜井市では長年伝統的な製法が受け継がれてきた地域ブランドである「三輪素麺」の普及などを目的とした「桜井市三輪素麺の普及の促進に関する条例」を制定。
平成28年3月29日には「三輪素麺」のブランド力向上のため、その地域ならではの自然的、人文的、社会的な要因の中で育まれてきた品質、社会的評価等の特性を有する産品の名称を、地域の知的財産として保護する国の制度「地理的表示保護制度(GI)」にも登録されています。
桜井市にはそうめん料理の人気店が数多くあり、夏は「冷やしそうめん」、冬は「にゅうめん」として年間を通してそうめんを食べる食文化が根付いているとのこと。
「にゅうめん」はそうめんを温かい出汁で食べる料理で「煮麺」が訛った呼び名と考えられており、こちらも奈良県発祥といわれています。
またパスタ風や焼きそば風などそうめんを使ったアレンジレシピも考案され、様々な料理で食べられています。
三輪そうめん流し 乾製麺所

今回訪れたのは、奈良県桜井市のJR三輪駅や大神神社からすぐ近くにある、「そうめん流し」が楽しめるお店『三輪そうめん流し 乾製麺所』。
こちらは1753年(宝暦3年)に創業した老舗、奈良県桜井市茅原にある「乾製麺所」が運営するお店。
食べログの店舗情報(店舗関係者の公式編集)によると2017年8月30日にオープン。

「奈良初・関西初のそうめん流しのお店」を掲げており、製麺所ならではの粉から厳選したオリジナルの三輪素麺を「回転式そうめん流し」で楽しめる珍しいお店です。
ちなみに「流しそうめん」と呼ばれているものは竹樋などを使って流されるもので、水圧を利用した回転式のものは「そうめん流し」と呼ぶのが一般的。
「そうめん流し」のスタイルは鹿児島県指宿市にある渓谷「唐船峡(とうせんきょう)」が発祥地として知られており、詳しくはこちらの記事にまとめました。

鹿児島ならではの食文化に出会った店主が、関西ではそうめん流しを体験したことがない人が多いので、三輪そうめんを使って奈良県初の「そうめん流し店」を出そうと発案してオープンしたとのこと。
暑すぎてバテバテの真夏にはピッタリのお店なので、空いてそうな平日を狙い、行ってみることにしました。
アクセス
場所はJR三輪駅から徒歩3分くらいの距離。
お店の専用駐車場は無さそうですが、近くにいくつか有料駐車場があり、大神神社も参拝される方は無料で利用可能な「大神神社第6駐車場」がお店の近くにあったのでおすすめです。
混雑状況
この日は平日の金曜日、お店には開店時間(10時半)10分前の10時20分頃に訪問。
この時店前には既に数組の待ち客がいました。
開店前や満席時は店頭の名簿に記名制で、この時はまだ3組しか記名していませんでしたが、開店時間までの10分間で12組くらいまで増えました。
食べログなどで事前予約も出来ますが、7月・8月の期間は予約席を減らしているそうで、食べログの店舗ページからもネット予約画面が消えていました。
開店時間とともに案内された予約客は1~2組?くらいだったので、4番目だった私たちはすんなり1巡目で入店。
退店した11時20分頃には店前は待ち客で大混雑だったので、早めの来店がおすすめです。
平日でこれなら土日はかなり混みそうですね。
メニュー・商品ラインアップ




暑いのでもちろん冷たいそうめん流しが目当てですが、温かいにゅうめんもあるとのこと。
そうめん単品もありますが、釜飯とのセットで1000円はお得なので『釜飯ランチ』を注文。
釜飯は「鶏」と「あさり」の2種類から選べますが、+150円で「鹿」にも変更できたので、『鹿』でお願いしました。
感想

【釜飯ランチ(鹿)】1150円(税込)
今回は同行者と2人での訪問なので、そうめんは2人前になりますが、思っていたよりも麺量は多く、一般的なそうめんの2束くらいはあるかも?という印象。
足りない場合は1束200円(税込)で追加可能です。

釜飯は時間がかかるので、最初に提供されたのはそうめんのつゆと薬味、椎茸のお吸い物、肉みそが乗った豆腐、カリカリのそうめんのふし(切れ端)。

そうめんには乾製麺所のオリジナル麺「誉(ほまれ)」を使用しているそうで、シコシコとしたコシとツルッとした抜群の喉越し。
つゆも椎茸が利いていたような、濃い出汁の旨みを堪能できる味わいで、かなり好みでした。


釜飯は注文後20分くらいで提供。
鹿肉、銀杏、ごぼう、人参、椎茸などが入っており、お茶碗一杯分とそこまで量は多くないですが、そうめんと一緒に食べるならこれくらいの量がベスト。
ほんのりコクがある素朴で優しい味わい、個人的には同行者が注文したあさりの方が好みでしたが、どちらも美味しかったです。
よく冷えて美味しいだけでなく、水の流れや音、すくう楽しさも相まって、五感で涼を味わうようなライブ感が「そうめん流し」や「流しそうめん」の魅力。
やはり普通に食べるよりも満足度が高くて、素晴らしい思い出になりました。
ご馳走様でした!
公式サイト等
食べログ
三輪そうめん流し
050-5594-4747
奈良県桜井市三輪460-24
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