訪問日:2025年7月19日(土)
伊勢名物の代表格「赤福餅」

三重県伊勢市の名物として、全国的な知名度を誇る大人気の和菓子「赤福餅」。
販売店である「赤福」の創業は宝永4年(1707年)といわれており、300年以上の歴史を誇る江戸時代からの老舗。
「赤福」という名前の由来については、公式サイトに以下のように書いてあります。
「赤福」の商品名の由来につきましては、創業の頃のことですので、確かな文献があるわけではありませんが、言い伝えによりますと、京都からおみえになったお茶の宗匠が、赤福の店でお休みになり、召し上がられたあんころ餅を大層よろこばれ「赤心慶福(せきしんけいふく)」のお言葉を頂戴しました。
それを創業者である治兵衛がこれこそ餅の名にふさわしいと思い「赤心慶福」から二文字をいただき「赤福」と名づけたとされています。
“赤心慶福”とは、伊勢神宮をお参りされる方々のお心を表した言葉で、「赤ん坊のようなうそいつわりないまごころを持って自分や他人の幸せを喜ぶ」という意味がございます。
赤福ではこの言葉を社是とし、全従業員が心に刻み込んでいます。
よくあるご質問と回答
「赤福餅」は餅をこし餡で包んだあんころ餅の一種で、形は伊勢神宮神域を流れる五十鈴川のせせらぎをかたどり、餡につけた三筋の形は清流、白いお餅は川底の小石を表しています。
「赤福餅」はお伊勢参りに訪れた方々におもてなしをしようと、あんころ餅とお茶で商いを始めたのが誕生のきっかけといわれていますが、当初の「赤福餅」は現在のものとは異なり、塩味で作られていたとのこと。
当時のお伊勢参りは徒歩や馬での長旅だったことから、到着して疲れ切った人々にとって、塩味の赤福餅はたくさん食べられる食事代わりのものだったそうです。
その後1727年に徳川八代将軍徳川吉宗が砂糖の原料となるサトウキビの栽培を奨励し、砂糖の生産高が増えたことから、赤福餅も次第に黒砂糖餡を使ったものに変わったそうです。
そして明治44年(1911年)に昭憲皇太后(明治天皇の皇后)が神宮参拝の折に赤福餅を注文されたそうですが、「甘みと灰汁の強い黒砂糖餡では、皇后陛下のお口に合わないのではないか?」と、白砂糖餡の特製品を献上した結果、無事好評を博したとのこと。
この時に作られた白砂糖餡のものを「ほまれの赤福」と名付けて一般販売するようになり、現在の「赤福餅」が完成したそうです。
しばらくの間は黒砂糖餡を「赤福」、白砂糖餡を「ほまれの赤福」として販売していたそうですが、その後白砂糖餡のみに統一。

現在ではコロナ禍をきっかけにオンラインで発売開始した新商品「白餅黑餅」の中の「黑餅」が、江戸から明治期に作られていた黒砂糖餡「赤福」の復刻版だそうです。
「お福餅」との違い
ちなみに伊勢では「赤福餅」の他にも類似商品として、三重県伊勢市二見町にある「御福餅本家」が販売している「お福餅」という和菓子があります。
名前や形、パッケージまでそっくりなため、まるで「赤福餅」のパクリなのでは?といわれることもあるようです。
「御福餅本家」は元文3年(1738年)に創業。
伊勢国に茶店を開設し、伊勢神宮参宮のために伊勢本街道や熊野街道を歩んできた旅人に餡餅をお福わけしたことが始まりとのこと。
「お福餅」も餅をこし餡で包み、3本の筋が形作られていますが、これは二見浦に打ち寄せる波の形を手作業で表現したもの。
餅とこし餡を組み合わせたあんころ餅は全国各地に存在しているくらいポピュラーなものであり、伊勢にも同じような商品を販売するお店が数多く存在したそうですが、現在まで残ったものが「赤福」と「御福餅本家」だそうです。
「赤福」の知名度が圧倒的に高すぎるせいもありますが、「御福餅本家」も歴史のある老舗であり、随分昔に同時に食べ比べた時は、個人的に「お福餅」の方が好みだったような気がします。
これはまた改めて比較記事を書いてみたいなと思います。
赤福 本店

今回訪れたのは、伊勢神宮内宮の門前町、通称「おはらい町」にある『赤福 本店』。
現在の本店は明治10年(1877年)に建て直された約150年もの歴史がある店舗。
「赤福餅」をはじめとした商品販売の他、店内でのイートインも可能で、お伊勢参りのお客さんのために、毎朝5時から営業しているのも凄いですね。
三重県内の食べログスイーツランキングで常に上位であり、2018年・2019年には食べログ スイーツ百名店、2023年には食べログ和菓子・甘味処百名店に選出されています。
「赤福」の店舗は直営店の他、百貨店、サービスエリア店、鉄道売店、空港売店などを三重県、愛知県、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、滋賀県、岐阜県に展開しており、「赤福餅」を購入できる場所はかなり多いです。
しかし三重や名古屋、大阪にある一部店舗には喫茶メニューがあり、夏季は「赤福氷」、冬季は「赤福ぜんざい」を販売しています。
また基本的に「赤福餅」は少量生産の「甑」以外は本社工場にて機械で形作られていますが、喫茶店舗で提供している赤福餅は「餅入れ」と呼ばれる職人が全て手入れで作っているものという違いがあります。


ちなみに本店はイートイン可能ですが、メニューは赤福餅2個にほうじ茶が付いた「盆」のみになり、「赤福氷」と「赤福ぜんざい」はすぐ向かいの「本店別店舗」で提供しています。
今回は「第73回伊勢神宮奉納全国花火大会」のために伊勢を訪れましたが、昼間はやはり食べ歩きを楽しみたいところ。
特に「おはらい町」は魅力的なお店が盛り沢山なので、他のお店も何軒か巡る予定でしたが、やっぱり大好きな『赤福 本店』は外せず、久しぶりに再訪。
アクセス
場所は五十鈴川駅から徒歩30分くらい、バス停は「神宮会館前」が最寄りで徒歩3分くらいの距離。
駐車場は近隣コインパーキングになります。
混雑状況

この日は土曜日、お店には10時10分頃に訪問。
この時会計待ちは数人並んでいて、店内は混んでいたもののスペースに空きがあり、すんなり入れました。
この日はとても暑かったですし、今の時期特に人気なのが「赤福氷」、なので向かいの「本店別店舗」の方が常に10人近く並んでいる感じで、店内も混んでいました。
メニュー・商品ラインアップ



今回は店内で「盆」をいただき、お土産に「白餅黑餅」を購入。
感想

【赤福餅 盆】400円(税込)
餡はさらりとした口当たりで、上品であっさりした小豆感ですが甘さはしっかりめ、むっちりと伸びのある柔らかな食感のお餅との相性抜群で、やっぱり安定の美味しさ。
個人的に赤福の好きなポイントは、甘さがしっかり利きつつもくどさを感じない絶妙なライン。
子供の時から大好きな味です。
ほうじ茶は香ばしくてほんのり苦みがあり、冷たいのも嬉しかったです。


【白餅黑餅 8個入】1100円(税込)
白小豆餡の白餅と、小豆餡の黑餅、黑餅の見た目は少し赤福餅のようですが、上述の通り通常の赤福餅には白砂糖、黑餅には黒砂糖を使用しているという違いがあります。
白餅はお餅の風味の良さが際立ち、あっさりとした甘さでまろやかな味わい。
黑餅は小豆の風味より、芳醇でコクのある黒砂糖らしさが前面に出た濃厚な味わい。
どちらも通常の赤福餅とは全く異なるテイストですが、とても美味しかったです!
ご馳走様でした!
公式サイト等
公式サイト
食べログ
赤福 本店
0596-22-7000
三重県伊勢市宇治中之切町26 おかげ横丁
コメント