訪問日:2025年9月28日(日)
川崎大師名物 くず餅 久寿餅

関西人の私は「くず餅」と聞くと、奈良県の名物であり、葛粉(マメ科のつる性多年草である葛の根から澱粉を精製した粉)を原料とした透明感のある餅をイメージします。

しかし関東の「くず餅」は、小麦でんぷんを乳酸発酵させたものを蒸し上げて作る、白くて弾力のある餅で、「和菓子で唯一の発酵食品」といわれています。
また関西のものは「葛餅」、関東のものは「くず餅」や「久寿餅」と表記されることが特徴。

関西の「葛餅」についてはこちらの記事に詳しくまとめました。
関東のくず餅の起源には諸説あり、亀戸天神(東京都江東区)や池上本門寺(東京都大田区)、王子稲荷神社(東京都北区)、川崎大師(神奈川県川崎市)の門前町でも名物になっているとのこと。
今回訪れた川崎大師の門前町では「久寿餅」という表記で親しまれており、発祥の歴史は天保年間の1830年代。
大師河原村に住む久兵衛という人物が、風雨の強い夜に納屋に蓄えておいた小麦粉を雨で濡らしてしまい、仕方なくこれをこねて樽に移し、水にといて放置したとのこと。
翌年飢饉が起こり、樽に移した小麦粉のことを思い出した久兵衛は、樽の底に発酵した良質のでんぷんが沈殿しているのを発見。
これを加工して蒸し上げると独特な餅ができあがったため、時の三十五世隆盛上人に試食してもらったところ、「淡白にして風雅な味わい」と絶賛し、川崎大師の名物として 広めることを勧めたそうです。
隆盛上人の提案により、餅の名前は久兵衛の「久」の一字と、無病長寿を祈念した「寿」の一字を合わせて「久寿餅」と名付けたとのこと。
川崎大師山門前 住吉


今回訪れたお店は、大正6年(1917年)に創業した老舗の久寿餅専門店『川崎大師山門前 住吉』。
こちらのお店のすぐ近くに明治20年(1887年)創業という「住吉屋総本店」というお店もありますが、『川崎大師山門前 住吉(株式会社住吉)』、「住吉屋総本店(有限会社住吉屋総本店)」と別経営になります。
それぞれのお店の公式サイトなどで触れられていないので、正確な情報は不明ですが、お店を取材した記事などを見ると、『川崎大師山門前 住吉』は「住吉屋総本店」の暖簾分けでオープンしたという情報が出てきました。
店舗は2025年12月に公式サイトを確認した時点で、今回訪れた『川崎大師山門前 住吉』の他、すぐ近くに「珈琲茶房 餅陣住吉」、川崎駅直結の「川崎地下街 アゼリア店」があるとのこと。
メインの入口は川崎大師山門前にあり、喫茶も併設されていますが、今回は時間が遅かったので、裏の表参道沿いにある持ち帰りの売店コーナーに行って来ました。
アクセス
場所は川崎大師駅から徒歩6分くらいの距離。
駐車場は無いので近隣コインパーキングになります。
混雑状況
この日は日曜日、お店には16時35分頃に訪問。
この時先客1人のみで、すんなりと購入できました。
メニュー・商品ラインアップ


商品ラインアップは公式サイトにも掲載されています。
今回の目当てはもちろん「久寿餅」。
一番少ない量を店員さんに確認したところ、「36切れ 2枚入り 2~3人用」だったので、今回はこちらを購入。
感想




【久寿餅 36切れ 2枚入り 2~3人用】900円(税込)
お餅はブヨッとした食感とモチッとした食感が合わさった独特の弾力があり、そのままだと甘さがなくてあっさりと淡白な味わい。
濃厚な甘さの黒蜜に香ばしいきな粉は鉄板の組み合わせ。
12切れくらいでかなりお腹が膨れるので、確かにこの量だと3人分は楽しめる印象、900円はお手頃価格ですね。

今回「住吉屋総本店」のものも買って帰りたかったのですが、こちらは残念ながら売切れだったので、次回の楽しみにしたいと思います。
ご馳走様でした!
公式サイト等
公式サイト
食べログ
久寿餅本舗 住吉
044-288-4437
神奈川県川崎市川崎区大師町4-47

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