訪問日:2024年2月10日(土)
『かんざらし』とは
長崎県島原市で古くから親しまれている、伝統的なご当地スイーツ『かんざらし』。
白玉粉で作った小さな団子を「島原の湧水」で冷やし、蜂蜜や砂糖等で作った特製の蜜をかけたもの。
原料の餅米のくず米を冷たい大寒の日前後に石臼で水びきし、その沈殿物を乾燥させて米粉(白玉粉)を作っていたことから、「寒ざらし」と呼ばれるようになったそうです。
かつて島原市一帯の庶民は年貢として納める米を口にできず、くず米を主食にしていたそうで、それを磨り潰して長期保存できる米粉にし、その都度調理して食していたそうです。
島原一帯には1792年(寛政4年)の島原大変による地殻変動の影響で数十箇所から澄んだ湧き水が出るようになったため、それを活用して米粉が腐りやすい夏には団子にして湧水の中で保存する習慣が生まれたそうです。
その上、島原一帯には砂糖の生産が盛んであり、いつしか米粉の団子と砂糖で作った蜜で冷たいお菓子を作り、夏に来客に振る舞うようになったのが『かんざらし』の発祥といわれています。
時代を経て蜂蜜や砂糖が一般的に食されるようになってから、市内の多くの飲食店で提供される身近な一品となったとのこと。
文化庁の令和3年度食文化機運醸成事業(地域で受け継がれ愛されている食文化を掘り起こし学びや体験の提供に取り組む)で、江戸時代から続く郷土の料理として100年フードに選出されています。
長崎市のお店でも食べたことがありますが、提供店はやはり島原市が中心。
島原市の公式サイトには『かんざらし』の提供店を紹介した「かんざらしマップ」が掲載されていて、2024年2月確認時点で29店舗ありました。
お店によって蜜のレシピや白玉の食感、大きさなども変わり、シンプルながら奥が深く、またとても美味しいため、島原を訪れた際はかんざらしの食べ歩きが楽しみになっています。
銀水
今回訪れたお店が、かんざらしの代表格として知られる名店『銀水』。
創業は大正4年(1915年)、入江ギンさんが「浜の川湧水」のすぐそばで始めたお店。
昭和30年(1955年)に田中ハツヨシさんがお店を引き継ぎ、平成9年(1997年)まで営業していたそうですが、田中ハツヨシさんの逝去により閉店。
以降20年近く店舗が空き家のまま残されていたそうですが、島原市が名店を蘇らせる事業を進め、2016年8月6日に「浜野川湧水観光交流館『銀水』」として復活。
令和3年4月1日からは、島原市の指定管理業務を受けて「株式会社玉乃舎」が運営しているそうです。
この銀水復活の実話をもとにした「かんざらしに恋して」というドラマも放送され、こちらのお店はロケ地にもなったそうです。
4年前に一度行ったことがありますが、今まで食べてきたかんざらしの中で、こちらのお店は個人的にNO.1の美味しさ。
また食べたくなったので久しぶりに再訪。
アクセス
場所は島原船津駅から徒歩6分くらいの距離。
駐車場は店舗から北に細い路地を抜けた先にあります。
混雑状況
この日は土曜日、お店には13時50分頃に到着。
この時満席だったので、店内のウェイティングボードに名前を記入、待ち客は2組合計6人でした。
待ち時間は20分くらいかかりました。
待っている間は店前にある日本名水百選の「浜の川湧水」を見たり、店前のベンチでのんびりと過ごしました。
メニュー・商品ラインナップ
かんざらしの他にも様々なスイーツやそうめんなどの軽食もありますが、迷わず目当ての『かんざらし』を注文!
感想
【かんざらし】550円(税込)
黄金色に輝く蜜の中に、小ぶりの白玉がゴロゴロたっぷり沈んでいます。
前回は350円だったので結構値上がりしたと思いましたが、なんだか量も多くなった気がします。
蜜は甘めでコクと芳醇な香りがあり、「べっこう飴」や「黄金糖」を彷彿させる味で、これが本当にたまらない美味しさ。
白玉は表面は柔らかな歯触り、噛むとモチッとコシの強い食感で風味も良く、感動の美味しさです。
同行者は季節限定の「チョコざらし」を注文したので少しシェアしていただきました。
こちらは温かいホットチョコレートの中に白玉が入っていて、冷たいかんざらしとは異なり、やんわりモッチリとした伸びのある食感。
両方美味しかったですが、やはりかんざらしの方が個人的には好み、寒い冬でも食べたくなります。
ご馳走様でした!
公式サイト等
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食べログ
銀水
0957-63-4610
長崎県島原市白土桃山2-1093
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