訪問日:2024年9月1日(日)
西馬音内そばとは
秋田県雄勝郡羽後町(おがちぐんうごまち)の郷土料理である「西馬音内そば(にしもないそば)」。
羽後町の西馬音内地区では古くから多くのそば屋が軒を連ね、町内外から「西馬音内そば」として広く親しまれており、「西馬音内の盆踊」と並ぶ羽後町の名物といわれています。
特徴はつなぎに布海苔を使ったコシの強い麺に、冬でも冷たいつゆをかけた「冷やがけ」で食べられることが特徴。
発祥のお店は文政元年(1818年)創業の「弥助そばや」といわれており、創業者が大坂・砂場で修業したそばをベースに、故郷である秋田に帰る途中で出会った、そばに布海苔を使う新潟の郷土料理「へぎそば」を掛け合わせたものといわれています。
「弥助そばや」は製法を隠す事なく地元に伝えたことから、羽後町は「弥助そばや」を総本家とする「そばの町」として、その名が全国に知られることになったそうです。
「西馬音内そば」提供店一覧については「羽後町観光物産協会」の公式サイトに掲載されており、2025年4月に確認した時点で9店舗が掲載されていました。
弥助そば 秋田総本店

今回訪れたのが、秋田県秋田市のJR秋田駅前にある『弥助そば 秋田総本店』。
運営は秋田市に本社を置く「株式会社ドリームリンク」という会社が行っているとのこと。
現在も元祖である「弥助そばや」の本店はありますが、「株式会社ドリームリンク」は後継者難から製法を後世に残すため、「弥助そばや」の商標・製造ノウハウ・乾麺事業などを2018年11月に譲り受けており、2019年7月30日に『弥助そば 秋田総本店』をオープンしたそうです。
公式サイトにはお店の歴史について以下のように書いてあります。
「西馬音内そば」物語
https://noble-creation.com/yasukesoba/story.php
秋田県雄勝郡羽後町の西馬音内地区は、いつの頃からか「そばの町」として多くの方々が訪れるようになりました。「西馬音内そば」と呼ばれるこの地のそばは、弥助そば屋・初代当主である「弥助」によって広められました。弥助は十歳の頃、江戸時代に日本海航路で物流を担っていた北前船にもぐり込み、日本そば発祥と云われる大坂は砂場の地でそば打ちの修行に励みました。
二十歳を過ぎ、少年から立派な青年になった弥助は、故郷である秋田県は西馬音内にそば打ちを持ち帰り、矢島街道と本荘街道が交わる、馬音川に架かる二万石橋の袂に店を構えました。今から二百年以上前、文政元年の事です。西馬音内そばの特徴でもあるつなぎの布海苔は、新潟は小千谷のへぎそばにルーツがあり、修行を終えた弥助が秋田に帰る途中で出合い、持ち帰ったものと云われております。街道沿いの宿場町であった西馬音内は多くの旅人で賑わいました。弥助は創業と同時に、店の名物として丼に冷たいつゆとそばをいれて食べる「冷がけ」と呼ぶそばを考案命名します。これが「冷がけそば」の発祥となりました。
当時、冷たいそばと言えば笊や皿に盛られたそばを猪口に入ったつゆで食べる、いわゆる「盛そば」でした。弥助が考案した「冷がけそば」は、物珍しさもあったのでしょう、旅人たちの評判となり全国へと広まりました。弥助は「冷がけそば」とその製法を隠す事なく地元に伝え、羽後町は弥助そば屋を総本家とする「そばの町」となり、やがて「西馬音内そば」と呼ばれ、その名を全国へ広めることになりました。
弥助が広めたそばは、細いのにコシがあって歯切れよく、そばがふわりと甘く香ります。大阪砂場系の配合で国産そば粉にこだわり、つなぎに新潟小千谷そばと同じく布海苔を用いるが、布海苔は北海道産にこだわります。二八の配合で手打ちの包丁切り、つゆは昆布と鰹節。これが弥助の「冷がけそば」です。弥助の「冷がけそば」は、やがて天麩羅や納豆に卵など色々な具がのるようになり、店は大繁盛したと云います。江戸、明治、大正、昭和、平成、今和と二百年の時を越え、弥助から七代にわたり守り続けてきた「元祖冷がけそば」。この味をこれからも変えることなく守り続けることが私たちの役割と肝に銘じて毎日そばを打っております。
西馬音内は雪国秋田を代表する豪雪地帯。厳しい秋田の冬に白い息を吐きながら、冷たい「冷がけそば」を食べさせた弥助の粋な心意気を、そばを手繰りながら感じとって頂ければ幸甚でございます。また、西馬音内は日本国の重要無形民俗文化財であり、徳島の阿波踊りとならび日本三大盆踊りである「西馬音内盆踊」の地でもございます。お時間がございましたら、約七百年をも超えてなお絶えることなく続いている西馬音内盆踊にお出かけください。盆踊は毎年、八月十六日から十八日まで開催されております。そして、西馬音肉へいらしたら、町に点在する西馬音内そば屋を巡ってみてください。その中の一軒として、創業当時と同じ二万石橋の袂に「弥助そば屋・本店」もございます。
七代目 弥助そば秋田総本店 店主敬白
羽後町まで行けなくても総本家の味が楽しめるのはとても魅力的、今回初訪問です。
アクセス
場所は秋田駅の西口からすぐ近く。
駐車場は近隣コインパーキングを利用。
混雑状況
この日は日曜日、お店には19時50分頃に訪問。
この時店内は客入り4~5割くらいの印象で、待ち時間無く入れました。
メニュー・商品ラインアップ




今回は基本の「元祖冷がけ蕎麦」に、まだ秋田の郷土料理で食べたことがなかった「チョロギ」と「ぼだっこ」も注文!
感想


【元祖冷がけ蕎麦】780円(税込)
一般的な冷やしのそばよりも、更に噛み応えのあるシコッとしたコシの強い食感。
つゆは昆布と鰹節の出汁が使われているそうで風味豊か、甘さが強くまろやかでコクのある味わい。
少しまったり感があるので、ピリッとワサビの刺激を加えると相性抜群で激うま!
別皿に天かすも用意されていますが、個人的入れないほうが好み、そば湯は薄めのシャバッとした感じでした。

【チョロギ】400円(税込)
チョロギとは
「チョロギ」は秋田の伝統野菜の一つであり、地下茎の先端部が渦巻き状の形になるシソ科の宿根草で、「長老喜」や「千代呂木」など様々な字があてられるそうです。
サクサクとした歯触りを活かして梅しそ漬けなどの漬物にされ、縁起物食材として正月の黒豆に添えられるのが定番とのこと。
収穫時期は10~11月頃で、主な産地は湯沢市だそうです。
しそ梅のような爽やかな味わいで、カリッとサクサクした食感がクセになり、美味しかったです。

【ぼだっこ】500円(税込)
ぼだっことは
「ぼだっこ」は秋田の方言で、「超辛口」に塩辛く漬け込んだ鮭のことだそうです。
その辛さは尋常ではないそうで、小さなかけらでもご飯を軽く1~2杯食べられるといわれています。
小さな「ぼだっこ」に大量の白飯だけが入ったお弁当も販売されているものの、その見た目があまりにも貧相なため、SNSなどでネタにされてバズッているのを見たことがあります。笑
表面は塩がたっぷりで、焼きたての香ばしいパリッとした食感。
ビリビリするくらいの塩気に震えますが、凝縮されたような旨味も相まって、これはこれでありな美味しさ。
ただ、米もお酒も無しで注文するべきではない一品ですね。笑
今回の旅行では羽後町まで行けませんでしたが、秋田市で「西馬音内そば」が食べられて良かったです!
次回は現地で色々なお店の食べ歩きを楽しみたいと思います。
ご馳走様でした!
公式サイト等
公式サイト
https://noble-creation.com/yasukesoba
食べログ
弥助そば 秋田総本店
018-801-1212
秋田県秋田市千秋久保田町4-5 秋田駅前ビル 1F
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