訪問日:2025年5月15日(木)
松山鮓とは
愛媛県松山市に伝わる郷土料理「松山鮓(まつやまずし)」。
エソやトラハゼなど瀬戸の小魚でとった出汁と甘めの合わせ酢で酢飯を作って野菜などを混ぜ込み、その上に錦糸玉子を散らして、季節に応じた瀬戸の魚介類を盛り付ける、ばら寿司の一種。
瀬戸内海の魚をふんだんに使うのが特徴で、本格的な料理店ではウニやクルマエビを使って豪華に、居酒屋では酒の肴になるよう刺身を中心に、食堂ではじゃこ天やしめ鯖などリーズナブルな食材を盛り付けるなど、様々な場面に応じたバラエティー豊かなメニュー作りがされているとのこと。
松山地域ではお祝いや来客時、人が集まる際にばら寿司をふるまう習慣があることから、瀬戸内の食材を贅沢に散りばめた「松山鮓」が生まれたといわれています。
明治25年(1892年)に夏目漱石が初めて松山を訪れて正岡子規の家に立ち寄った際、母の八重がもてなしたのが「松山鮓」だったそうで、その時夏目漱石は大いに喜んで一粒もこぼさないように食べたそうです。
また明治28年(1895年)の春に松山中学校の教師として夏目漱石が再び松山を訪れた際(この時の経験が後年小説「坊っちゃん」のモデルになった)、まず所望したのが「松山鮓」だったそうです。
正岡子規にとっても松山鮓は郷土の誇りだったそうで、「われ愛す わが豫州 松山の鮓」など、松山鮓に関する俳句を数多く残しています。
松山を代表する郷土料理として再び脚光を浴びたのは、松山市水産市場開場25周年と「坊っちゃん」発表100年という大きな節目の年に当たる平成18年(2006年)。
この時松山市水産市場運営協議会では、三津浜婦人会などと共同して「松山鮓」のレシピを復活させ、水産市場正面に「瀬戸の小魚・松山鮓」と題する句碑を建立しています。
「混ぜ込む」ことを松山地域の方言で「もぶす」あるいは「もぶる」と呼ぶことから、松山鮓は別名「もぶり鮓」ともいわれています。
これとは別に「もぶり飯」と呼ばれる料理もあって混同されがちですが、「もぶり飯」は炊いたご飯に様々な具材を混ぜ込んだ、農作業などの際におかずが無くても栄養がとれて食べられる食事としてや、祝い事や法事などのちょっとしたごちそうとして作られた広島などの郷土料理で、「松山鮓」とは全く別の料理になります。
すし丸

今回訪れたお店は、愛媛県松山市の道後温泉本館すぐ近くにある『すし丸 道後店』。
こちらは松山市二番町に本店を構えるお店で、創業は昭和23年(1948年)。
「松山鮓」の提供店を調べると必ず紹介されているのを目にする有名店で、私は以前一度本店に行ったことがあり、「松山鮓」の美味しさに感動しました。
店舗は本店と道後店の2店舗があり、道後店は今回初訪問です。
アクセス
場所は道後温泉駅から徒歩4分くらいの距離、「ホテルパティオ・ドウゴ」の1階にあります。
駐車場は近隣コインパーキングを利用。
混雑状況
この日は平日の木曜日、お店には19時20分頃に訪問。
この時先客は4組くらいで待ち時間無く入店。
メニュー・商品ラインアップ








目当ての「松山鮓」は店頭のメニューには単品があったのですが、店内のメニューには見当たらなかったので、今回は五色そうめんと小鉢が付いた『松山鮓セット』を注文!
感想

【松山鮓セット】1705円(税込)

エビ、太刀魚、穴子、タコなど、多種多様な魚と野菜、錦糸玉子、さくらでんぶなどがトッピングされており、とても豪華なだけでなく、魚は煮たり酢締めにされているなど、どれも手が込んでいることが特徴。
酢飯や具材の味付けは甘さがしっかり利きつつ程良い酸味が絶妙、全体のバランスが素晴らしいです。
具材はどれも美味しくて、相変わらず絶品、一瞬で完食してしまいました。

そうめんは赤や黄色、緑が混ざった綺麗な五色そうめんで、シコッとした柔らかめの食感。
つゆが冷たいのでサッパリといただけ、塩気も控えめで上品な味わい、容易に飲み干せる美味しさでした。
小鉢は漬物だと思ったら、梅味が利いたこんにゃくで、こちらも美味しかったです。
やっぱり美味しい、すし丸の松山鮓!
まだ松山鮓はこちらのお店でしか食べたことがないので、次回は他のお店のものも食べ比べをしたいと思います。
ご馳走様でした!
公式サイト等
公式サイト
食べログ
すし丸 道後店
089-932-6157
愛媛県松山市道後湯之町20-12 ホテル パティオ・ドウゴ 1F
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