訪問日:2023年9月9日(土)
『へぎそば』とは
新潟県の魚沼地方発祥という名物『へぎそば』。
『へぎそば』とは、つなぎに布海苔(ふのり)という海藻を使い、「へぎ」と呼ばれる器に盛り付けた切り蕎麦。
小麦粉をつなぎにした蕎麦や十割蕎麦など、一般的な蕎麦と比べると、ツルツルとした喉越しと弾力のある歯応えがあるのが特徴。
また薬味には刻みネギの他、蕎麦には定番のワサビがとれなかったことから、代わりに「からし」が用いられます。
発祥のお店については諸説あるようですが、その中の一つ「小嶋屋総本店」の公式サイトに『へぎそば』の詳しい歴史について書いてありました。
新潟県では魚沼地方を中心に蕎麦の栽培が行われてきたそうで、結婚式の祝い膳や大晦日、お庚申様、節句、そして盂蘭盆(うらぼん)の時などには、農家が自家用に作った蕎麦を石臼で挽き、つなぎに工夫を凝らして振る舞っていたそうです。
当時この地方では小麦の栽培は行われておらず、蕎麦のつなぎには山ごぼうの葉や自然薯などを使っていたとのこと。
また魚沼地方は織物の一大産地でもあり、蕎麦の茎を燃やして作ったアク汁は糸を漂白するために使われ、布海苔は煮溶かした粘り気のあるエキスを糸に張りを持たせるための糊付けに用いられていたそうです。
そこで小嶋屋総本店の創業者は、もっと身近で手に入りやすい布海苔をつなぎに使って蕎麦を作れないかと研究を重ね、『へぎそば』を完成。
「へぎ」は「剥ぐ=はぐ=へぐ」が訛った言葉で、養蚕の現場で使われていたものを活用し、木を剥いだ板を折敷にした器。
また『へぎそば』は一口ごとに八の字に盛りつけるのも特徴的で、こちらは「手振り・手びれ」などと呼ばれます。
これは織物をする時の糸を撚り紡いだ(よりつむいだ)“かせぐり”などからきた手ぐりの動作を言ったもので、絹糸の束「おかぜ」を再現した盛り付けだそうです。
わたや
今回へぎそばを食べに訪れたお店が、新潟県小千谷市の本町に本店を構える『わたや』。
こちらも「へぎそば発祥のお店」を掲げるお店の一つ。
初代が製麺工場を持っていた町の有力者から製麺機を引き継いでそば屋を始めたのが始まり。
現在は4代目、正確な創業年はわからないそうですが、少なくとも大正10年(1921年)には商売を始めていたそうです。
そば屋を始める前は綿の打ち直しなどを生業にしていたそうで、当時の屋号が「綿屋」だったことから、そば屋になってからもそのまま店名にしたとのこと。
店舗は本店の他、平成12年にオープンした平沢店、合計2店舗を展開。
今回は本店を訪問。
本店は創業地であり、現在の建物は昭和46年(1971年)に建てられたそうです。
アクセス
場所は小千谷駅から徒歩20分ちょいの距離。
駐車場は店舗前や店舗横など、合計15台分あるそうです。
混雑状況
この日は土曜日、お店には開店30分前に到着。
この時まだ待っている人はおらず、開店5分前に2組増え、開店時には私を含め3組待ちでした。
メニュー・商品ラインナップ
メニューは公式サイトに掲載されています。
オススメメニューは「へぎそば」、「山海天ぷら盛合せ」、「きんぴら大名」、「鴨南蛮つけそば」だそうです。
今回は『へぎそば1人前』を注文。
感想
【へぎそば1人前】935円(税込)
麺はツヤツヤと光沢があり、蕎麦の風味は控えめに感じましたが、ツルツルシコシコとした食感の良さが際立ちます。
つゆは鰹節系の香り高い風味が効き、甘さは控えめで塩気がしっかり効いた濃口。
薬味はミョウガとネギ、卓上にはからしとワサビ両方置いてありました。
個人的にはへぎそばでもワサビを効かせる方が好み、ただこちらのお店のへぎそばはワサビ無しでネギとミョウガを効かせて食べるのが一番美味しかったです。
蕎麦湯は蕎麦の優しい甘さが効いてサラッとした質感。
今まで食べたへぎそばの中でも特に好みで、お気に入りのお店になりました。
ご馳走様でした!
公式サイト等
公式サイト
食べログ
へぎそば「わたや」 本店
0258-82-2258
新潟県小千谷市本町2-3-34
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