訪問日:2019年8月19日(月)
和歌山ラーメンとは
和歌山ラーメンは、豚骨醤油のスープにストレートの細麺、具には刻んだ青ネギ、メンマ、チャーシュー、ナルトではなくカマボコ(カマボコ型にナルト模様が入った千代巻なども)が入ることが特徴。
また、卓上にはゆで卵や早寿司(しめ鯖の押寿司)があり、会計時にいくつ食べたかを自己申告するという、独特なシステムもあります。
和歌山ラーメンでは早寿司を食べる文化があることから、麺量は少なめに設定されているとか。
スープは大きく分けて、さらりとしたスープが特徴の「醤油ベースの豚骨醤油味」と、ぐらぐらと煮出した白湯スープが特徴の「豚骨ベースの豚骨醤油味」の2つの系統があります。
新横浜ラーメン博物館が提唱した呼び名では、前者は「車庫前系」、後者は「井出系」と呼ばれます。
「井出系」という呼び名は、和歌山ラーメンが全国に知られるキッカケとなり、ご当地ラーメンブームを巻き起こした昭和28年創業の名店「井出商店」がルーツ。
そして「車庫前系」は、和歌山ラーメンの原点にあたる屋台文化がルーツとなっています。
戦後になると、和歌山駅から県庁を通り、海南に抜ける市電の拠点になる駅に、中華そばの屋台が出るようになったそうです。
特に市電の車庫があった車庫前駅周辺は一番の繁華街で賑わい、屋台の数も一際多かったとか。
市電が姿を消すと、屋台の多くは店舗を構えるようになっていき、この屋台の流れを組むラーメンが「車庫前系」と呼ばれています。
本家 アロチ 丸高
今回訪れたのが、和歌山ラーメンの源流であり「車庫前系」の味のベースになったといわれるお店「丸高」。
昭和15年(1940年)に屋台で創業。
こちらのお店で働いていた人や、丸高を訪れて見よう見まねで覚えた人々が、それぞれに屋台を構えていったのが和歌山ラーメンの基盤になったそうです。
そのため和歌山ラーメンのお店には「丸高」に倣って、屋号に「丸」がつくお店が多いと言われています。
丸高以前も屋台は存在していたそうですが、いつからあったか定かでないことや、丸高のラーメンが和歌山ラーメンの特徴のベースになっていることから、丸高は和歌山ラーメンの元祖的存在となっているようです。
お店は今回訪れた本家の他、六十谷店、また神戸にも支店があります。
神戸の支店については以前行ったことがあるのですが、本家は初訪問。
ちなみに神戸の支店は土地柄に合わせて濃いめの味付けにしているらしく、本家とは少し異なるようです。
店名の「アロチ」って何?と思ったのですが、これは和歌山市新内、北ノ新地、友田町西部周辺の歓楽街の呼び名のようですね。
アクセス
お店は和歌山駅より徒歩10分弱の距離。
駐車場は近隣コインパーキングを利用。
混雑状況
この日は平日の月曜日、お店には18時前の訪問。
店舗は老舗感満載で歴史を感じます。
店内にお客さんは誰もおらず、私1人だけでした。
メニュー・商品ラインナップ
メニューは中華そばの他、餃子、そしておでんもあります。
ラーメンを基本的に「中華そば」と書くのも、和歌山の特徴。
そして卓上にはやはり早寿司。
こちらも会計時の自己申告制になるので、特に注文せず好きなタイミングでいただきます。
今回は「中華そば」を注文!
感想
ラーメン提供前に早寿司100円(税込)を1個いただきました。
本来は寿司をアセの葉で巻いていたそうですが、近年はプラスチック製のものが主流とのこと。
醤油とかはつけずにそのままパクリ。
ふわっととろけるサバに、柔らかいシャリと絶妙な酢の塩梅。
シャリの比率が高いですが、とても美味しいお寿司です。
そして中華そば650円(税込)が到着。
スープはほんのり濁った濃い醤油色。
車庫前系の製法は、豚骨を鍋一杯の醤油で炊き込み、十分に味が染みこんだ所で豚骨を取り出し、この豚骨を炊き込んでスープを作るそうです。
この際に鰹節や香味野菜、鶏ガラなどを合わせる店もあるとか。
丸高のスープは豚骨100%。
先代から継ぎ足しで作られるそうです。
ツンとした刺激を感じるほど強烈な豚骨臭に、苦味と酸味が相まった醤油の味わい強めのスープ。
麺は当初自家製麺だったそうですが、今は三善製麺という製麺所のものだそうです。
中細くらいのストレートで、モチッとやや柔めの食感。
具材はチャーシュー、青ネギ、メンマ、花のようなかまぼこ。
メンマは柔らかく味がよく染みていて美味しいです。
チャーシューはパサッとカチカチで、豚肉特有の臭みはかなり強め。
神戸の丸高で食べたラーメンとは随分異なる印象で、個人的には神戸の方が好みでした。
和歌山ラーメンはまだあまり巡れていないので、これからもっと開拓して勉強に励みたいと思います。
ご馳走様でした。
公式サイト等
食べログ
本家 アロチ 丸高
073-432-3313
和歌山県和歌山市友田町2-50
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