訪問日:2025年6月18日(水)・6月21日(土)
さくらんぼ王国 山形県
日本一の生産量を誇り、全国の7割を占めるという、山形を代表する農産物「さくらんぼ」。
県内各地で栽培されていますが、主に東根市、天童市、寒河江市などが中心で、出荷時期は品種によっても異なりますが、加温栽培は4月下旬から始まり、露地栽培は5月下旬から7月中旬まで。
さくらんぼの原産地はトルコのギレスン市周辺といわれており、英語名Cherryはギレスンの古い呼び名が由来。
紀元前65年にローマの将軍がここからさくらんぼをイタリアに持ち帰り、ヨーロッパ各地へ広まったとされています。
日本におけるさくらんぼ栽培の始まりは、1868年(明治元年)に函館在住のドイツ人R・ガルトネルが渡島国亀田郡七重村(現北海道亀田郡七飯町)にさくらんぼ等の外国品種の果樹を試植したこと。
山形県では1875年(明治8年)に果樹10種等(さくらんぼの苗木3本)を県庁構内(当時の二の丸大手通りの新御殿)に試植したことが始まりだそうです。
全国でさくらんぼの育成が試みられる中、成功したのは山形県とその周辺のみで、山に囲まれた地形である山形県は空梅雨になることが多く、雨に弱いさくらんぼ栽培に適していたとのこと。
山形がさくらんぼ日本一として躍進する大きなターニングポイントになったのは、現在でもさくらんぼの主力品種である「佐藤錦」の誕生。
「佐藤錦」の生みの親は、家業の醤油醸造から果樹栽培に切り替えた東根市の佐藤栄助氏。
味は良く日持ちが悪い「黄玉」と、日持ちは良く固くて酸味の強い「ナポレオン」を掛け合わせ、日持ちが良く甘味にも優れた生食用のさくらんぼを作ろうと1912年(大正元年)に品種改良に着手。
1922年(大正11年)に初めて実を結び、その後佐藤栄助氏の友人の苗木商、株式会社天香園初代の岡田東作氏が苗木作りに成功して1928年(昭和3年)に「佐藤錦」が誕生。
その苗木を多くの果樹農家に広め、その名が知られるようになったそうです。
かつては缶詰用など加工用の向けのさくらんぼが多かったそうですが、1973年(昭和48年)には第1次オイルショックの影響で缶詰の業務用需要が縮減して加工向け価格が暴落し、生食向けさくらんぼの生産拡大による労働力不足と、雨よけ施設の普及を背景に、寒河江市に観光さくらんぼ園が開園。
現在では「さくらんぼ狩り」は山形における初夏の風物詩となっており、さくらんぼシーズンになると山形県にはたくさんの観光客が訪れてとても賑わいます。
これまでにもさくらんぼは様々な品種が誕生しており、この時期の山形県では全国に出荷されない珍しい品種のさくらんぼも直売所などにたくさん並ぶので、食べ比べも楽しめます。
また青果店や農園が直営するカフェなど、フルーツをふんだんに使ったスイーツをお手頃価格で楽しめるお店が多いのも、フルーツ王国と称される山形県の魅力。
食の駅 山形蔵王店

今回訪れたのは、山形県山形市の国道13号線沿いにある農産物直売所『食の駅 山形蔵王店』。
こちらは群馬県前橋市に本社を置く1994年創業の「ファームドゥ」が運営するお店とのこと。
「ファームドゥ」は関東地方を中心に農業資材専門店「農援’S」、農産物直売所「食の駅」、小型農産物直売所「地産マルシェ」などを展開しており、『食の駅 山形蔵王店』は東北地方への初出店として2015年6月24日にオープン。
山形の新鮮な野菜や果物を豊富に取り揃えた農産物直売所で、もちろんこの時期はさくらんぼが多数並んでいるとのこと。
食べたことがない珍しい品種も売っていないか期待し、行ってみることにしました。
アクセス
場所は蔵王駅から徒歩39分くらいの距離で駅からは遠め。


県内のお土産や地酒・旬のフルーツなど4000品目以上を取り扱った「ぐっと山形」や、山形市初の道の駅として2023年12月3日オープンした「道の駅やまがた蔵王」も隣接しているため、駐車場は広大です。
混雑状況
今回の旅行では平日の水曜日と土曜日の2回訪問。
水曜は16時半頃でお客さんがちらほらいるくらい、土曜日は10時半頃でレジにも常に数人の待ち列が絶えないなかなかの混雑でした。
メニュー・商品ラインアップ





目当てのさくらんぼは日によってラインアップが異なり、佐藤錦や紅秀峰、やまがた紅王などの人気品種は数も多く並んでいましたが、比較的マイナーな品種は数が少なめです。
またどちらの日にもお得に買える割引商品があるのも魅力的でした。
今回は水曜日に「おばこ錦」、土曜日には「やまがた紅王」と「山形美人」、合計3品種を購入。
感想



【おばこ錦】1000円(税込)
株式会社天香園が2000年に販売開始した品種で、果皮は紫赤色で果肉も赤く色づき、収穫時期は6月中旬頃、早生品種の中では大きめで、糖度が高く食味が良いことが特徴。
流通量が少ないためほとんど売り場には並ばず、さくらんぼ狩り専用品種になっていることもあるようです。
アメリカンチェリーっぽい見た目ですが、柔らかジューシーな果肉に、濃密な甘さと程よい酸味、美味しくてびっくりしました。



【山形美人】1200円(税込)
佐藤錦の枝変わりとして生まれた品種で、株式会社天香園が1995年に販売開始し、1998年に品種登録。
佐藤錦よりも早期収穫できることから、元々「早生紅佐藤錦」という名称で品種出願されており、収穫時期は6月上旬から、出荷の最盛期は6月中旬から下旬頃。
果皮は赤色が濃くて真ん中に白い縫合線があり、佐藤錦よりもやや酸味が強くて甘みのバランスが良い爽やかな味わいが特徴。
佐藤錦などの主力品種と比べると生産量はかなり少ない希少品種だそうです。
確かに白い線が入り、色艶がとても綺麗な美人さくらんぼ。
適度な食感でしっかりジューシー、甘さや酸味のバランスの良さは佐藤錦を彷彿させる王道の美味しさ。
最安で1200円のパックしか販売していなかったものの、その分量もたっぷり入っていて楽しめました。

【やまがた紅王】800円(税込)
県が20年以上かけて開発し、「紅秀峰」と「C-47-70(レーニア×紅さやか)」を交配させた品種で、2020年に「山形C12号」として品種登録完了。
「やまがた紅王」は2L・丸秀以上という条件を満たしたものだけが名乗れるブランド名。
収穫期は6月下旬から7月上旬で「佐藤錦」と「紅秀峰」の間、3L〜4L中心の大玉生産も可能で、糖度が高く酸味は少なめ、果肉がかたくて日持ちもすることが特徴。
2023年から本格販売された話題の品種で、今後佐藤錦などの主力品種になることが期待されているそうです。
見るからに巨大な果実でプリッとしっかり食感、香り・甘味・酸味のバランスがパーフェクトで、個人的に今まで食べたさくらんぼの中でもトップクラスの美味しさ。
今回の旅行ではこちらのお店以外でも様々なさくらんぼやさくらんぼスイーツを食べましたが、やっぱりこの時期の山形旅行は最高です!
ご馳走様でした!
公式サイト等
公式サイト
https://www.instagram.com/syokunoeki_yamagata_
食べログ
食の駅 山形蔵王店
023-679-5700
山形県山形市表蔵王68 山形観光物産会館
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