訪問日:2024年3月21日(木)
仙台牛タン焼きとは
ずんだ餅・笹かまに並び、宮城県仙台市の三大名物の一つといわれる「仙台牛タン焼き」。
仙台牛タン焼きは、牛タン焼きと、麦飯、テールスープ、浅漬け、 南蛮味噌(青唐辛子の味噌漬け)と共に、定食スタイルで提供されるのが大きな特徴。
牛タンは先端部分(タン先)と裏側(タン下)などの固い部位を除いた部分を厚切りにし、塩味やタレをつけて熟成させたものを炭火等で焼き、一般的に焼肉のタン塩では定番のレモン汁はつけません。
その歴史については平成14年2月に結成された「仙台牛たん振興会」より公式サイトとして認定されている「仙台牛タウン」に詳しく書いてありました。
仙台牛タン焼きの誕生は昭和20年代、終戦直後の混乱期で仙台市内は失業者であふれ、町のあちこちで戦争未亡人が飲食店を開いていたそうですが、手軽に開業できる焼き鳥屋は特に人気だったそうです。
牛タン焼きの生みの親という「太助」の初代店主である佐野啓四郎氏も、当時は和食の職人として焼き鳥中心の飲食店を経営。
食糧難ということもあって、鶏肉だけではなく豚肉や牛肉など様々な素材を焼き料理として出していたそうですが、調理方法が簡単なのでヒット商品を出しても周りのお店に次々と真似されてしまうため、誰にも真似のできない自分だけの食材を探し、洋食屋を経営していた親友の小野氏へ相談したところ、牛タンを使うことを提案されたそうです。
小野氏の知り合いの洋食屋に行き、タンシチューを食べて美味しさに驚いたことから牛タンの魅力に惹かれたものの、手間がかかることから試行錯誤し、昭和23年(1948年)頃に切り身にして塩味で寝かせて焼くという現在の牛タン焼きの原型が完成。
仙台牛タン焼きの歴史は他にも有名な説があり、第二次世界大戦後に仙台に駐留してたアメリカ兵が大量に消費する牛肉の余剰部分であるタンやテールを有効活用し、佐野啓四郎氏が牛タン焼きの専門店を開業したことが始まりという「米軍残り物説」。
当時のアメリカ進駐軍はアメリカ本土から牛肉を解体したものを輸入していたため、牛タン自体はほとんど輸入されていなかったと「仙台牛たん振興会」では「米軍残り物説」を否定しています。
しかしWikipediaには佐野氏はむしろ公式見解として認めており、自信のある元祖とイメージダウンを嫌う新規参入業者との間で見解の相違が生じていると書いてありました。
こういった説が生まれたのには、仙台の牛タン焼きは仙台牛などの国産よりも、殆どがアメリカ産やオーストラリア産といった輸入物が中心であることも関係しているようです。
「仙台牛タウン」には佐野啓四郎氏のすすめから「太助」で修業をし、後に「旨味太助」というお店を開いた娘婿である佐野八勇氏を取材した内容も掲載されていました。
そこでは牛タン焼きの誕生の背景については「仙台牛タウン」に書いてある内容の通りであり、戦後しばらくは牛タンを確保するのが大変だったため、仙台や山形県内の食肉加工場を回って手に入れたとのこと。
その後進駐軍向けに牛肉の扱いが増えたことから、オーストラリア産を輸入するようになったという流れが書いてありました。
その後も現在に至るまで輸入品が中心になっているのは、国産は一頭買いが多いため部位買いが困難であること、単価が安いことなどが理由としてよく挙げられています。
輸入物では牧草飼育が中心でかたい肉質になりやすいオーストラリア産より、穀物飼育が中心で適度に脂肪が付いて柔らかいアメリカ産の方が人気のようです。
牛タン焼きが仙台名物になったのは、1982年頃に商工会議所と県と市の観光課の人から「牛タンを仙台名物として売り出したい」という提案があったことから、テレビや雑誌、新聞などで紹介され、一気に全国に知られるようになったようです。
また、仙台の牛タン焼きが定食スタイルになったのは、当時の日本人の食生活に合わせて定食屋の一汁三菜型にならったこと、「麦飯」は当時米不足であり栄養価も高いこと、「浅漬け」は電気冷蔵庫が無かったため保存性が高かったこと、「南蛮味噌」は佐野氏の出身地である山形県の伝統料理であったこと、炭火焼なのは都市ガスが一般化していなかったこと、などが理由といわれています。
牛たん 一福
今回訪れたお店が、宮城県仙台市青葉区の国分町にある『牛たん 一福(いっぷく)』。
創業は昭和60年(1985年)。
仙台牛タン焼きは上述の通り「塩味」が定番ですが、こちらでは秘伝の味噌ダレに漬け込んだ「味噌味」の牛タン焼きを提供しており、『元祖みそ漬け牛たん焼』を掲げているお店。
また牛タン焼きだけでなく、刺身、たたき、ユッケ、ソーセージ、シチュー、角煮、カレーなど、牛タンを使った様々な料理を取り揃えているのも特徴。
創業当時、牛タンのみを扱った専門店が増える中で、お客さんの要望に応じたメニューを次々と考案し、現在のスタイルになったそうです。
味噌味の牛たん焼きはとても気になりますし、刺身やたたきなど、牛タン好きにとってはとても魅力的なメニューラインナップ。
以前から気になっていたお店で、今回初訪問です。
アクセス
場所は地下鉄「勾当台駅」南2番出口から徒歩3分くらいの距離。
駐車場は近隣コインパーキングを利用。
混雑状況
この日は平日の木曜日、お店には18時頃に訪問。
店内席は1階と2階があり、1階はカウンター席のみ若干空いていたので、待ち時間無く入れました。
メニュー・商品ラインナップ
黄色文字のものが人気の牛たんメニューだそうです。
今回は味噌と塩を両方楽しめる『みそ漬・しお味牛たん焼盛合わせ定食』と『牛たん刺し』、『牛たんたたき』を注文。
同行者と2人でシェアしながらいただきました。
感想
【みそ漬・しお味牛たん焼盛合わせ定食1.5人盛】2650円(税込)
定食の内訳は牛タン焼きと、麦飯、テールスープ、漬け物、南蛮味噌(青唐辛子の味噌漬け)という「仙台牛タン焼き」で定番のスタイル。
塩は結構濃いめの味付けで、やや歯応えのあるかための食感。
味噌は甘さが効いたピリ辛のご飯が進む味付け。
個人的には味噌味の方が断然好みという結果でした。
テールスープはホロッとこってりした柔らかなお肉が1個入っていました。
【牛たん刺し(ハーフ)】1000円(税込)
少し凍っている状態での提供。
最初はかたかったのですが、溶けてきたらモッチリと柔らかな食感で、脂が乗ったこってりとした味わいを楽しめました。
【牛たんたたき(ハーフ)】1100円(税込)
何故かこちらのみ提供が遅くて40分くらいかかりました。笑
こちらも少し凍っている状態での提供。
溶けても少し歯応えのある食感で、見た目よりも脂は感じずあっさりとした肉質。
薬味と食べると更にサッパリとした味わいでした。
様々な牛タン料理が楽しめて良かったです。
ご馳走様でした!
公式サイト等
公式サイト
食べログ
牛たん一福
022-265-7914
宮城県仙台市青葉区国分町2-10-4 魚好ビル 1F
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