訪問日:2023年3月2日(木)
にしんそばとは
京都や北海道の名物として知られている、にしん(鰊)の干物「身欠きにしん」を甘露煮にし、そばの上にのせた「にしんそば」。
京都では昆布と薄口醤油を使用した薄い味付けで青ネギを使用、北海道では濃口醤油を使った濃い色味で白ネギが使われることが多いのが特徴。
江戸時代後期から大正時代にかけて北海道沿岸部ではにしん漁が盛んで、春になるとにしんの大群が産卵のため沿岸に押し寄せて海が真っ白に染まる「群来(くき)」が見られたそうです。
冷凍技術が発達していなかった時代、大量に獲れたにしんは干物の身欠にしんとして加工され、全国的にも貴重な保存食となったことから、北前船にのせて北海道から本州まで輸送され、北海道以外でも京都をはじめとした各地でにしん料理が進化していったとのこと。
明治時代ににしんの漁獲量はピークを迎えたそうですが、昭和30年代頃から群来は急激に減り、にしんはほとんど獲れなくなったそうですが、「にしんそば」をはじめとしたにしん料理や食文化は各地に根付いています。
京都での「にしんそば」の元祖は「松葉」というお店で、北海道では江差町でにしん漁が栄えたころの網元「横山家」に伝わるレシピがルーツだといわれているそうです。
総本家にしんそば 松葉

今回は京都の元祖として知られているお店、京都市東山区の四条大橋のすぐ近くにある、文久元年(1861年)創業の『総本家にしんそば 松葉』を訪問。
物流の少ない時代に四方を山に囲まれた京都では、「にしん」や「たら」といった干魚類が貴重なタンパク源だったそうです。
松葉の2代目が「にしん」と「そば」を組合わせることで栄養のバランスのとれた「にしんそば」として発案し、明治15年(1882年)に売り出したのが始まりだそうです。
にしんそばは他のお店で何度か食べたことがありますが、元祖というこちらのお店は今回初訪問。
店舗は本店の他、2023年3月に公式サイトを確認した時点で、本店近くにある「北店」、「京都駅店」、嵐山に「本社売店」があるようです。
アクセス
今回訪れた本店は祇園四条駅からすぐ近く。
駐車場は近隣コインパーキングになります。
混雑状況
この日は平日の木曜日、お店には16時50分頃に訪問。
公式サイトによると、本店は水・木が定休日と書いてありましたが、なぜか営業していました。

店舗内の席は2階や3階など分かれていて、私が案内されたのは3階。
この時3階には先客がおらず私のみでした。
メニュー・商品ラインアップ





メニューは様々な蕎麦・うどん類に、丼物、定食、一品など豊富なラインナップ。
「にしんそば」は定番の温かいかけそばに乗せたものの他、「冷しにしんそば」、「冷しにしんおろしそば」、また「にしん丼」や「にしん茄子定食」、「にしんからし漬」、「にしん炊合せ」など、様々なにしん料理を取り揃えています。
今回は基本の『にしんそば』を注文!
感想

【にしんそば】1650円(税込)
そばの上ににしんの甘露煮、別皿に青ネギ、とてもシンプルなビジュアル。
まず何より提供された瞬間、和風出汁の良い香りがブワッと辺り一帯に広がり驚きました。
つゆは芳醇な出汁の旨味が効いたコクのある味わい、そばはシコッと適度にコシがあり、出汁の香りに相まって蕎麦の風味も楽しめます。

にしんの甘露煮はパサつかずしっとりホロッとした質感、甘辛の味付けでほんのり脂も感じ、とても美味しいです。
実は今までにしんそばを食べてもあまり美味しいと思わなかったのですが、その一番の理由がこのにしんの甘露煮。
今まで食べたものはいずれもパサパサでかたくて味が濃く、わざわざそばにトッピングしたいという気持ちにならなかったのが正直なところ。
しかしこちらのお店は本当に美味しかったのでイメージが一気に変わり、食べに来て良かったです。
にしんだけでなく、つゆも蕎麦も美味しくて、値段は高めでしたが満足度も高かったです!
ご馳走様でした!
公式サイト等
公式サイト
食べログ
総本家にしんそば 松葉 本店
075-561-1451
京都府京都市東山区川端町192 松林ビル
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