訪問日:2023年9月13日(水)
「おきりこみ」とは
群馬の冬は日照時間が長く、新潟県境や北部の山々から乾燥した冷風「からっ風」が強く吹く乾燥した気候であり、水はけのよい土壌が小麦作りに適していることから、「すいとん」、「うどん」、「炭酸まんじゅう」など、小麦粉を使った郷土料理が数多く根付いています。
そんな小麦粉を使った郷土料理の代表格の一つが「おきりこみ」。
群馬県や埼玉県北部・秩父地方などで親しまれている郷土料理で、「おっきりこみ」や地域によって「煮ぼうと」や「煮ぼうとう」などとも呼ばれるそうです。
「おきりこみ」は小麦で作った幅広麺を、旬の野菜やきのこなどと一緒に煮込んだ料理で、味付けは醤油が定番ですが、醤油と味噌を合わせたり、 味噌のみのものもあるそうです。
うどんとは異なり、塩を入れずに打った生麺を煮込むため、打ち粉が溶け出してとろみが出るのが特徴。
似たタイプの料理として山梨の「ほうとう」がありますが、生地に加える水が少ないことや、醤油味が定番であることなどが違いといわれています。
「おきりこみ」のように無塩かつ下茹で無しの麺を日常的に食べる地域は珍しく、群馬、埼玉、山梨、長野などに限られるそうです。
石臼が庶民に広まった江戸時代中期頃から、日常的な主食として食べられるようになったと考えられており、麺の生地を麺棒などに巻き、包丁で切り込みを入れることから「おきりこみ」と名付けられたといわれています。
2014年には「群馬の粉食文化・オキリコミ」として、「群馬県記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に採択されたとのこと。
新田乃庄
今回訪れたお店は、群馬県太田市寺井町にある『新田乃庄(にったのしょう)』。
創業は昭和42年(1967年)という情報が出てきました。
郷土料理「おきりこみ」の名店として市内外の人たちから愛されている人気店とのこと。
寺尾城趾に平安朝の豪族の邸を模して再建した「本店」と、豪壮な武家の大館をアレンジした北関東随一の内容と規模を誇る「別館・寒山亭」がありますが、本店は修繕中のため「別館・寒山亭」へ行ってきました。
アクセス
場所は治良門橋駅(じろえんばしえき)から徒歩10分くらいの距離。
駐車場は店舗前にありました。
混雑状況
この日は平日の水曜日、お店には17時過ぎに訪問。
店内が広くて正確な状況はよくわかりませんでしたが、この時他にお客さんは見当たらず私のみでした。
メニュー・商品ラインナップ
目当ての「おきりこみ」は醤油味、味噌味、カレー味など、味も具材もバリエーションがあって豊富なラインナップ。
今回はちょっと少なめの『小鍋しょう油おきりこみ』を注文。
あと個人的に気になっていたのが、群馬の最高級ニジマスという「ギンヒカリ」を使った料理ですが、残念ながらこの日は提供なし。
もう一品食べたいなと思ったので、こちらのお店の名物料理の一つという「もっそ飯」も注文。
「もっそ飯」は別名「勝ちめし」ともいわれた武将弁当で、栗、山菜、鮭、うなぎ、とりなどの具材を最上米に盛って一気に蒸しあげる料理とのこと。
少な目バージョンもあったので今回は『小盛り栗もっそ飯』を注文。
感想
【小鍋しょう油おきりこみ】800円(税込)
具材は覚えているだけで大根、にんじん、かぼちゃ、ネギ、白菜、なす、三つ葉などが入っていました。
見た目からあっさりと優しい味わいという印象を受けましたが、意外にも油膜が張るくらい表面に油が浮いていて、コクがある濃厚な味わい。
麺は幅広の平打ち太麺で、ツルツルモッチモチのコシがある食感。
麺にも具材にも味がよく馴染み、期待以上の美味しさに大満足でした。
これは小鍋じゃなくて並サイズで注文したらよかったです。
【小盛り栗もっそ飯】950円(税込)
甘くてホクホクの栗に、香り高くシャクシャク食感の山菜、ご飯はふっくらモッチリとして、塩気はほとんど効いていませんでしたが、素材の味わいがほんのりと移り、味わい深かったです。
どちらも美味しかったですが、特におきりこみは衝撃が大きかった印象。
また味噌味など違うバージョンのおきりこみも食べに再訪したいです。
ご馳走様でした!
公式サイト等
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食べログ
新田乃庄 寒山亭
0276-37-4711
群馬県群馬県太田市寺井町690-2
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