訪問日:2024年3月22日(金)
福島名物馬刺し
福島県の会津地方を中心に名物になっている「馬刺し」。
馬刺しが全国的に有名な熊本県に次いで、福島県の馬肉生産量は2位だそうです。
福島に馬肉食が広まったのは戊辰戦争の頃といわれており、県内に運ばれてきた負傷者に馬肉を食べさせたことが始まりとされています。
その後内陸部であり、新鮮な生魚が入りにくかった会津若松では、馬肉は貴重なたんぱく源として、豚肉や鶏肉のように家庭で一般的に食べられる食材として親しまれるようになったそうです。
当初は加熱するのが基本で、「馬刺し」として生食されるようになったのは昭和30年から。
会津馬刺し発祥店を掲げる「肉の庄治郎」の公式サイトに、馬刺しが誕生したきっかけについて以下のように書いてあります。
力道山と肉の庄治郎
https://www.syoujirou.com/
昭和30年といえば、プロレス界の力道山が人気ナンバーワンを誇る国民的ヒーローでした。
外国人レスラーを得意の空手チョップでバッタバッタとなぎ倒す痛快さで戦後の日本を大いに勇気づけてくれました。
その力道山のプロレス興行が会津若松の鶴ヶ城(西出丸)であった時のお話です。
昭和30年9月1日に興行終了後、力道山が大勢のお弟子衆を引き連れ当時未だ砂利道だった道を裸足で歩いて当店に来たのです。
当店に入るなり、吊るしていた馬肉を指して、「おやじさん、その馬肉を生でくれ」と言い、お弟子さん持参の壺に入ったタレを付けて、その場で食べ始めたそうです。
当時、馬肉を生で食べる習慣はありませんでしたが、それをきっかけに馬肉を食べる習慣が当店から会津全体へ広がったのです。
また、その時のタレにヒントを得て、作ったのが当店自慢の辛し味噌ダレです。
創業大正6年1月 肉の庄治郎店主
福島の馬刺しは唐辛子やニンニクをブレンドした辛子味噌を醤油に溶いて食べることや、赤身の脂肪分「さし」が入っていないことも独自の特徴。
2019年5月1日には会津の馬肉料理のPRと普及活動に力を入れ、消費の拡大を図り、会津の食文化、産業に寄与することを目的とする団体「会津ブランド馬肉 さくらの会」が設立。
8月29日の「馬肉の日」に市内の飲食店で馬肉の定食メニューを展開したり、イベントを企画したりなど、精力的に活動を行っているとのこと。
会津郷土食 鶴我

今回訪れたお店は、福島県郡山市、JR郡山駅近くにある郷土料理店『会津郷土食 鶴我(つるが)』。
会津名物の「馬肉料理」をはじめ、様々な会津郷土料理が満喫できる人気店として知られています。
2025年2月に公式サイトを確認した時点で、店舗は「会津東山温泉 旅館鶴我」、「会津本店」、「郡山駅前店」、「ハワイアンズ店」、「赤坂店(東京)」がありました。
本店は会津若松市駅前町にあるようで、今回訪れたのは『郡山駅前店』になります。
特に「馬刺し」や馬肉のすき焼き風「桜鍋」などが看板メニュー。
希少部位も楽しめるそうで、とても気になっていたお店。
ちなみに上述の「さくらの会」は、鶴我グループ総料理長を務める入谷充さんが発起人だそうです。
アクセス
場所はJR郡山駅から徒歩5分くらいの距離。
駐車場は無いので近隣コインパーキングを利用。
混雑状況
この日は平日の金曜日、お店には20時20分頃に到着。
今回は3週間くらい前にホットペッパーでネット予約をしてからの訪問。
この時個室に案内していただいたので、店内全体の混雑状況はわからず。
賑やかな声が所々から聞こえてきたので、結構お客さんは多かった印象、予約しておいて良かったかもです。
メニュー・商品ラインアップ








個室はかなり暗かったので、メニュー写真がとても見にくくて申し訳ありません。
今回は馬刺しと桜鍋の定食を注文!
感想

【會津あずき茶】528円(税込)
車の運転があるのでソフトドリンクで。
せっかくなら他であまり見かけないドリンクをと、選んだのがこちら。
麦茶やウーロン茶、ほうじ茶などとは全く異なる独特の香ばしい風味が広がり、特に甘いとかは無くスッキリとした飲み口。


【お通し】1100円(税込)
品数が多くとても豪華、その分値段は高めです。
汁物は馬の肋骨のスープで、お肉はかたくて淡白ですが、優しいお出汁が効いていて美味しいです。
右上はコリコリかため食感のなまこ酢、左上は甘辛濃いめの味付けにされたお魚、真ん中は柑橘の皮が混ざったお芋の羊羹みたいな感じ。
左下はよく味の染みた柔らかい大根で、右下はふわっとした質感のたらこ味みたいなやつでした。

【桜八品盛り合せ二人前】3520円(税込)
三品盛り合せは一人前からありましたが、八品は二人前からになります。
今回は同行者と2人での訪問なので、シェアしながらいただきました。
内訳はタン、ホーデン、レバー、モツ、ユビヌキ、芯玉、脊髄、フタエゴ、タテガミ、極上赤身。
8品のはずなのになぜか10品ありました。笑
写真を撮り忘れましたが、タレは福島ならではの醤油と辛子味噌、ピリ辛でコクのある味わいです。
タンは弾力があって程良い脂の乗り、レバーはプリッと柔らかで上品、モツは結構臭いが強くてクセがありました。
ホーデンは睾丸で、茹でたような少しパサッとした舌触りですが、クセや臭みは無く食べやすいです。
ユビヌキは心臓についている大動脈で、 コリコリとした歯応えのある食感。
芯玉はモモ肉の一種で特に柔らかい部位、あっさりながら旨味は濃くとても好み。
脊髄はプリプリ食感でまろやかこってりな味わい。
タテガミは首のコラーゲンたっぷりの部位で、クニュッと独特な食感、こちらもこってり濃厚。
フタエゴはバラ肉の最高級部位で、脂身と赤身の両方の美味しさを楽しめる、個人的に馬刺しで1番好きな部位。
そして極上赤身は厚切りのヒレ肉で、こちらのみ量が多め。
もっちりと柔らかですが、噛む度に上品な旨味が楽しめて絶品です。



【桜カルビ鍋定】2200円(税込)
お肉は生でも食べられるフタエゴを使用。
沸騰したら味噌を溶いて火を弱め、肉を軽くしゃぶしゃぶしていただきます。
お肉を入れたら出汁が出るので、その後に他の具材も足すのがオススメとのこと。
生だともっちり柔らかでしたが、火が通ると少し締まりのある食感になり、肉の旨味がギュッと濃縮されたような味わいに。
脂が乗っているのでこってり重め、卵もメレンゲ状なのでしっかりとお肉に絡み、枚数はそんなに多くないものの満足感が高かったです。
全部食べた後は店員さんを呼び、つゆを玉子とじにしてご飯にトッピングしてもらえます。
甘辛濃厚な味付けがまろやかな卵にたっぷりと絡み、ご飯が止まらない美味しさです。
今回は馬肉料理がメインでしたが、なかなか他では提供していない郷土料理のラインアップも豊富なので、また改めて再訪したいと思います。
ご馳走様でした!
公式サイト等
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食べログ
会津郷土食 鶴我
024-931-1056
福島県郡山市大町1-2-28
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