訪問日:2026年8月1日(土)
岩本そば屋


長野県山ノ内町の北志賀高原、須賀川地区にあるお店『岩本そば屋』。
創業年は調べてみてもよくわからなかったのですが、現在の店主は3代目であり、祖父の時代から続くそば屋とのこと。
2022年5月に3代目としてお店を継いだ岩本啓汰さんは、新潟の専門学校で調理を学んだ後、東京の「更科堀井 日本橋店」に2年間勤務し、本店でも手打ちの修業を経験したそうです。
また、『岩本そば屋』のほか、湯田中で夜営業のそば店「イドコロ商店」も経営しています。
お酒と小料理を楽しみ、最後にそばで締めるという、東京で親しんだそば屋の楽しみ方を取り入れながら、須賀川そばの魅力を伝えているとのこと。
『岩本そば屋』では、地域に伝わる郷土料理「須賀川そば」と「はやそば」を提供していることが特徴。
以前から気になっていた2つの郷土料理を一緒に味わえることに惹かれ、訪問することにしました。
須賀川そば

長野県山ノ内町の北志賀高原・須賀川地区に伝わる郷土料理「須賀川そば(すがかわそば)」。

地元産のそば粉に、「オヤマボクチ」という植物の葉から取り出した繊維を小麦粉の代わりにつなぎに使う、独特の製法が特徴のそばです。

オヤマボクチは地元では「山ごぼう」とも呼ばれるキク科の多年草。
使うのは根ではなく、葉の裏側に生えている白いうぶ毛のような細かな繊維である「茸毛(じょうもう)」。
オヤマボクチは漢字で書くと「雄山火口」であり、葉の裏側の茸毛が火を起こす際の火口(ほくち)として使われていたことが名前の由来といわれています。
この繊維を取り出す作業にはかなりの手間がかかり、葉1kgから取り出せる繊維はわずか4~5gほど。
オヤマボクチはそばの風味を損ないにくく、小麦粉を加えずに打つことで、そば本来の香りを楽しめるのも魅力。
強いコシとしっかりした歯ごたえがありながら、ツルツルとしたなめらかな喉越しを味わえるといわれています。
なお、オヤマボクチをつなぎに使うそば文化は、須賀川地区以外の北信濃にも伝わっており、代表的なものに飯山市の富倉地区の「富倉そば(とみくらそば)」、木島平村の「名水火口そば(めいすいぼくちそば)」があります。
須賀川地区は、冷涼な気候と水はけのよい土地に恵まれ、古くからそば栽培が盛んな地域。
長野県の公式観光サイトによると、その栽培の歴史は室町時代にさかのぼるそうです。
米や麦の栽培が難しかった土地で、そばと身近な植物であるオヤマボクチを組み合わせる知恵が生まれ、地域のハレの日を飾る料理として親しまれてきたとのこと。
また、須賀川には、千切り大根とそば粉を加熱しながら混ぜ、だし汁でいただく「はやそば」や、そば粉で作るおやき「法印焼き(ちゃのこ)」なども伝わっています。
麺として食べるだけでなく、様々な料理にそばを使うところにも、この土地の暮らしとの深い結び付きが感じられます。
はやそば

長野県山ノ内町の須賀川地区や、栄村の秋山郷に伝わる郷土料理「はやそば(早蕎麦)」。
千切りにした大根に水溶きのそば粉を絡めて加熱し、だし汁などでいただく、そばがきに似た料理で、そば粉のもっちりなめらかな口当たりに、大根のシャキッとした歯触りが加わるのが特徴。
生地を練って延ばし、麺状に切る「そば切り」よりも、短時間で作れることが名前の由来だそうです。
大根を多めにすると、そば粉をまとった千切り大根がまるでそば切りのように見えることも名前に関係しているとのこと。
かつて手間のかかるそば切りはハレの日に食べるごちそうだったそうですが、はやそばは農作業の合間にも手早く作れる、日常の食事として親しまれてきたそうです。
また、大根を加えてそば粉の量を補うことで、食料が不足した際に飢えをしのぐ「救荒食」としての役割もあったといわれています。
2001年(平成13年)3月15日には、長野県の選択無形民俗文化財に指定。
現在は須賀川地区のそば店などでも味わうことができます。
アクセス
お店の近くに駅やバス停はなく、今回は車での訪問。
駐車場はお店の入口の横にありました。
混雑状況
この日は土曜日、お店には12時20分頃に訪問。
この時ほぼ満席でしたが、1卓のみ空いていたので、待ち時間はかからず済みました。
メニュー・商品ラインナップ



メニューはシンプルで、今回は目当ての「すがかわそば(ざる)」と「はやそば」を注文!
感想

【はやそば】400円(税込)
先に来たのがこちらの「はやそば」。
生地は温かくて、もっちりとふわっとを兼ねた食感、たまに混ざるシャクシャクした大根が良いアクセントに。
つゆは甘辛くコクがあり、薬味はネギと刻み海苔でシンプル。
そばの風味が優しく広がる素朴な味わいで美味しかったです。


【すがかわそば(ざる)】900円(税込)
ややざらりとした舌触りで短めの形状、モチモチとしたコシのある食感で、そばの風味と甘みがしっかり楽しめます。
つゆは甘めのまったりとした味わいで、ネギとワサビがさっぱりとして相性抜群。
そば湯はやや白濁していますがさらっとした質感で、そばの風味をしっかり楽しめました。

この日は「富倉そば」を食べに「かじか亭」というお店にも行ってきました。
同じくオヤマボクチを使ったそばでも、こちらは結構かための食感で歯ごたえがあり、舌触りはツルツルとなめらかなタイプ。
結構違いはあったものの、どちらも風味が強く、しっかりとした食感を楽しめるそばで、とても美味しかったです!
オヤマボクチを使ったそばの魅力に、完全にハマってしまいましたね。
ご馳走様でした!
公式サイト等
https://www.instagram.com/iwamoto_sobaya
食べログ
岩本そば屋
0269-33-6536
長野県下高井郡山ノ内町苗間7654

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