訪問日:2025年5月30日(金)
讃岐うどんとは
香川県を代表する名物として、全国的にも圧倒的な知名度を誇る「うどん」。
1871年までのこの地域の名前であった讃岐国にちなんだ「讃岐うどん」という呼び名で親しまれています。
「讃岐うどん」の歴史は古く、諸説ありますが、通説では奈良時代に弘法大師空海が唐の国からうどん作りに適した小麦と製麺技術を持ち帰り、日本に伝えたことが始まりといわれています。
現在のような長い麺状になったのは江戸時代の頃と考えられており、当時はうどんの原型とされる「はくたく」という団子をつぶしたような形で、空海はこれを弟子の智泉に伝授し、智泉は作ったうどんを滝宮で家族に振る舞ったことから、香川県綾川町滝宮は「讃岐うどん発祥の地」といわれています。
讃岐うどんに限らず「うどん発祥の地」についても諸説あり、この香川県綾川町滝宮説もその一つ、他にも福岡博多説や奈良説などもあります。
讃岐うどんの最古の資料は、元禄年間(1688年〜1704年)に金刀比羅宮の大祭の様子を描いた「金毘羅祭礼図屏風」で、そこには3軒のうどん屋が描かれており、この時代から既に香川がうどんの先進地帯の一つであったことを示しているとのこと。
香川でうどんが広まったのは、小作地が多い上に降水量が少なくて干ばつに悩まされることが多く、米よりも上質の小麦をつくるのに適していた地域であったこと、伊吹島のいりこ、小豆島や引田地域の醤油、坂出市を中心とした塩田の塩など、うどんの原料が豊富に揃っていたことが理由と考えられています。
現在のようなうどん店が誕生したのは昭和40年代以降といわれており、県内で小型の製麺機が開発されたことや、うどんに最適なオーストラリア産小麦が輸入されるようになり、製麺の傍らお客さんに提供するセルフサービス方式のお店が増えていったとのこと。
この頃まではうどんが香川の名物であるという認識はそれほど一般的ではなかったそうですが、昭和45年(1970年)の大阪万博で讃岐うどんを販売したところ、来場客から大人気となり、全国に一躍その名が知れ渡ることに。
さらに1980年代に地元タウン誌で讃岐うどんが特集されたことや、1988年に瀬戸大橋が開通したことにより、県内外から観光客が訪れるようになり、全国的ブームになったといわれています。
お店によっても異なりますが、「讃岐うどん」の特徴といわれているものは以下の通り。
●小麦の風味が豊かで、モチッとした弾力に富んだコシの強い麺。
●出汁には主にいりこ(煮干し)が使われる。
●生姜やネギなどの薬味が多用される。
●かけ、ぶっかけ、醤油、ざる、釜揚げ、釜玉、湯だめ、肉、カレー、しっぽく、打ち込みなど、食べ方のバリエーションが豊富。
●セルフサービス方式のお店が多い。
●朝から昼にかけて営業するお店が多い。
ちなみに「讃岐うどん」という名称を使用すること自体に制限はないそうですが、生めん類において名産、特産、本場、名物等を表示する場合のみ、「生めん類の表示に関する公正競争規約及び公正競争規約施行規則」において以下のように定義されています。
●香川県内で製造されたもの
●手打、手打式(風)のもの
●加水量 – 小麦粉重量に対し40%以上
●食塩 – 小麦粉重量に対し3%以上
●熟成時間 – 2時間以上
●ゆでる場合 – ゆで時間約15分間で十分アルファ化されていること
香川は他にも様々なご当地グルメや郷土料理がありますが、やはりうどんは欠かせないグルメで、旅行で訪れると朝から晩までうどんばかり食べてしまう日も珍しくありません。
同じように見えてお店ごとに味・食感・スタイルが結構違うので、うどん好きの私にとってはどれだけ巡っても飽きが来ずに楽しめます。
長田 in 香の香


今回訪れたのは、香川県善通寺市金蔵寺町にある、「釜あげうどん」が看板メニューのうどん店『長田 in 香の香(ながたいんかのか)』。
創業者はまんのう町の「長田うどん」から独立し、こちらのお店を平成14年4月14日にオープン、現在店主は2代目になるそうです。
店名は「長田うどん」から受け継いだ出汁で勝負していること、「香の香」は「釜あげうどんは香川の香り」という意味で、「in」はよく見ていたテレビの「なんでも鑑定団」の「出張鑑定団in香川」という表現を参考にしているそうです。
2025年6月時点で食べログのうどんランキングで全国第9位であり、香川県内では6位。
「The Tabelog Award」のBronzeを2017~2021年に受賞、2017~2020・2022・2024年にはうどん百名店に選出。
釜あげうどんといえばまず外せない名店として知られています。
私は以前2016年に行ったことがありますが、まだブログも始めていない頃でメモも取っておらず、味の記憶が曖昧なので久しぶりに再訪しました。
アクセス
場所はJR土讃線「金蔵寺駅」から徒歩8分くらいの距離。
駐車場は160台分あるとのこと。
混雑状況
この日は平日の金曜日、お店には12時半頃に訪問。
この時店内は客入り8~9割くらいの印象で、混んでいましたが待ち時間無く済みました。
メニュー・商品ラインアップ

こちらのお店ではまずレジで注文と会計を済ませて番号札を受け取り、空いてる席に着いて提供を待つ流れなので、いわゆるセルフ店とは異なる「一般店スタイル」と呼ばれるもの。
メニューは釜あげと冷やしがあるだけでシンプルですが、メニューにはない「釜玉」も出来るという情報を目にしました。
今回は同行者と2人での訪問なので、釜あげと冷やしを1玉ずつ注文!
感想

【小1玉(釜あげ)】500円(税込)
釜あげうどん・湯だめうどんとは
うどんは基本的に茹で上がった麺を水で洗って締めることで「うどん玉」を作り、これに出汁をかけたりトッピングをすることで色々なメニューにしています。
「釜あげうどん」は釜から茹で上がった麺を水で締めることなく、そのまま茹で湯と一緒に取り、濃いめのつけ出汁に浸して食べるのが特徴。
似ているメニューとして「湯だめうどん」がありますが、こちらは水で締めた「うどん玉」を熱い湯に入れたものをつけ出汁で食べるという違いがあります。
「湯だめうどん」は作り置きしたものを使うことが出来るので、基本的には「釜あげうどん」の方が手間がかかっており食感も良いとされています。
見た目では同じように見えますが、「釜あげうどん」は麺が浸っているお湯に濁りがあり、「湯だめうどん」は透き通っています。
また「釜あげうどん」の麺は茹で上がったばかりで表面がとろけるようななめらかさとふんわりとした食感がありますが、「湯だめうどん」は水で洗っているためツルツルとしています。
しかし「釜あげうどん」という名前で実際は「湯だめうどん」を提供していたり、「湯だめうどん」という名前でも釜あげ状態で提供しているお店もあるそうなので、一概には言えません。
釜あげの出汁が入った大きな徳利は徳島の大谷焼で、持ち手は電線を編んで作っているとのこと。
香川県伊吹島産のいりこをたっぷりと使い、そこに選りすぐりのかつお節と昆布をブレンドしているそうです。
麺は小麦風味豊かでモッチリとした歯触りの良さと程良い弾力があり、つけ出汁はキリッと濃いめの醤油に煮干系の魚介の旨みも相まって絶妙のバランス。

卓上には薬味もあり、生姜とネギを足すと更に好みの美味しさになりました。

【小1玉(冷やし)】500円(税込)
こちらは離れた場所に置いてあるポットに冷たい出汁が入っていて、釜あげのものとは異なるようです。
こちらの冷たいつけ出汁はもう全面的に魚!!!っていうくらいガツンと魚介強めの味わいでかなり個性的。
麺も冷やしなのでモチッとしたコシの強さが際立ちます。
どちらも美味しかったですが、個人的にはやはり釜あげの方が好みだった印象。
以前食べた時も美味しかったのは覚えていますが、やはりこちらのお店は釜あげうどんの中でもトップクラスの味と再認識できました。
ご馳走様でした!
公式サイト等
公式サイト
食べログ
釜あげうどん 長田 in 香の香
0877-63-5921
香川県善通寺市金蔵寺町本村1180
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