訪問日:2025年10月22日(水)
丹波黒大豆とは
かつて「丹波国」と呼ばれた現在の兵庫県と京都府にまたがる丹波地方で、古くから地域の特産品として作られてきた、正月のおせち料理に欠かせない食材「黒大豆」。
この地域の大粒黒大豆の在来種は「丹波黒大豆」と呼ばれており、他の地域で生産される黒豆とは区別され、その名前が知られています。
「丹波黒大豆」がいつ誕生したかについては定かではないそうですが、京都府の公式サイトによると、倭名類聚抄(935年)に「烏豆(クロマメ)」として大豆と区別され、16世紀には宮中への献上物に「黒豆」の名があることから、この頃にはすでに栽培が盛んだったと考えられているとのこと。
またおせち料理に黒豆を食べるようになったのは、室町時代に砂糖がないためこんにゃくと炊き合わせて「座禅豆」と呼ばれ食べられていたものが起源といわれています。
生産量は兵庫県が日本一で、市町村別にみると丹波篠山市が日本一の産地だそうです。
丹波篠山地方の黒大豆は、享保15年(1730年)に刊行された料理本「料理網目調味抄」において、「くろ豆は丹州笹山の名物なり」、「黒豆丹州笹山よし押して汁煮染」と記されていることから、古くから栽培され、当時から優れた特性をもった商品価値の高い特産物であったことが確認できます。
特に「川北黒大豆」は江戸時代中期に将軍家に献上されて江戸にも評判が広がり、明治初期には日置村の大庄屋・波部科次郎の品種改良により優良な黒大豆の種「波部黒」が誕生。
昭和16年(1941年)には兵庫県農事試験場が多紀郡内で古くから栽培されていた「波部黒」を用いた品種比較試験を行い、最も優良であったものを「丹波黒」として命名。
兵庫県では現在「丹波黒」は特定の品種ではなく、「川北」、「波部黒」、そして波部黒から選抜した「兵系黒3号」など多様な系統の在来品種の総称として使用されています。
「丹波黒」の明確な定義はないようですが、一般の大豆が百粒重30グラム程度であるのに比べ、「丹波黒」は80~90グラムと世界でも類のない大粒、煮ても皮が破れにくくよく膨らみ、漆黒の色つやと広がる芳香、もちもちした食感の良さ、アントシアニンやイソフラボン等のポリフェノール類が豊富に含まれることが特徴。
また丹波篠山市は以下の内容で日本の黒大豆栽培の礎を築いたことから、令和3年2月19日に「日本農業遺産」の認定を受けています。
●丹波篠山市の「黒大豆」とは、約300年前から栽培され、現在、日本全国で最も多く栽培される黒大豆「丹波黒」の原種。
●水不足のため犠牲田を生み出し、その湿田で技術的に困難であった乾田化を成し遂げ、黒大豆栽培を可能にした(乾田高畝栽培技術の基盤を形成)。
●約200年前に豪農大庄屋 波部六兵衛、継嗣・本次郎らによって多様な遺伝資源(在来種)の中から優良な種子を選抜育種し、現在国内で栽培される主要な黒大豆品種の起源となっている。
●水の少ない丹波篠山市では、多くのため池が築造されたことでカエルやサンショウウオ類などの希少な両生類の生息場となり、また森林資源を生かした地域循環システム(灰小屋で粗朶や落ち葉を焼いて作る灰肥料)が形成され、農の営みの中で自然環境が守られてきた。
https://www.city.tambasasayama.lg.jp/soshikikarasagasu/nomiyakoseisakuka/nougyouisan/15942.html
おせち料理だけでなく、黒豆ご飯や黒豆茶、黒豆スイーツなど、丹波篠山地方では様々なお店で黒豆グルメを提供している他、10月の約3週間という短い期間には「幻の枝豆」とも呼ばれる「丹波篠山黒枝豆」も楽しめます。

小西のパン

今回訪れたお店は、兵庫県丹波篠山市魚屋町の本町通りにある「黒豆パン」の専門店『小西のパン』。
創業は明治26年(1893年)という老舗。

元々は淡路島由良(現洲本市)で商いを始めたそうですが、明治42年(1909年)に陸軍歩兵第七〇連隊創設に伴い陸軍御用達として篠山の地に転居し、現在に至るとのこと。
看板商品の「黒豆パン」は、本場丹波の黒大豆を8時間~9時間じっくりと煮込み、甘さを押さえて黒豆本来の味を引き出し、パン生地の中に煮豆をたっぷりと包み込んで焼き上げた逸品。
「黒豆パン」自体は他のお店でも販売していますが、こちらは特に有名でいつも行列ができ、早くに売り切れてしまう大人気店。
私も以前からお気に入りのお店で、今回久しぶりに買いに来ました。
アクセス
お店の近くに電車は通っておらず、今回は車での訪問。

駐車場はこちらの地図の通り。
店前は駐停車禁止ですが、平気で止めている人を何度も目にするので、本当に嫌になります。
前の道は広くないので通行にも支障が出ますし、お店にも迷惑がかかるので、絶対に駐車場を利用してください。
混雑状況
この日は平日の水曜日、お店には10時10分頃に訪問。
この時店内には3人の待ち列が出来ていましたが、数分の待ち時間で購入出来ました。

このあと11時半にもう一度前を通ったときは売り切れで閉店していたので、とにかく早くに買いに行くことをおすすめします。

ちなみに『小西のパン』が売り切れ閉店した後も、近くにある「大正ロマン館」で小西のパンの黒豆パンが売っていました。
メニュー・商品ラインアップ

この日は「黒豆パン」しか販売していませんでしたが、永年変わらない味の「メロンパン」(不定期製造・限定)も人気とのこと。
感想


【本場黒豆パン1袋(3ヶ入)】660円(税込)
黒豆は見た目通りたっぷり入っていて、しっとりほっくりとした食感、素朴な甘さで風味豊か。
パン生地はふんわりもっちりとした柔らかな食感でパサつきは皆無。、ほんのり利いた甘さは黒豆とのバランスが絶妙。
シンプルながら絶品で、やはり近くに来た際は毎回買っていきたいお気に入りグルメです。
ご馳走様でした!
公式サイト等
公式サイト
食べログ
小西のパン
079-552-0052
兵庫県丹波篠山市魚屋町23

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