訪問日:2023年9月15日(金)
『甲州寿司』とは
海に面していない内陸県でありながら、マグロの消費量で全国2位になったり、人口当たりの寿司店数が全国1位という山梨県。
流通網が発達していなかった時代、夏でも生魚を持ち込める限界地点を「魚尻線」と呼んでいたそうで、マグロの漁獲量・消費量日本一である静岡県からの魚尻線は山梨県の甲府周辺だったそうです。
当時からマグロはハレの日の食卓に上がり、現在まで山梨県のごちそうとして不動の地位を守り抜いているとのこと。
寿司屋が多い理由については諸説あるようで、以下のような情報が出てきました。
○江戸時代や明治時代に届けられた魚は魚尻線のため特別新鮮なわけではなく、魚を酢で〆たり漬けにする寿司屋の技術を活かして魚を美味しく味わっていた。
○山梨では昔から大人が数人で集まって飲食する「無尽(むじん)」が頻繁に行われていて、時にはお金のやり取りを行う無尽に、寿司屋の座敷はうってつけの会場だった。
○享保9年(1724年)に幕府直轄領となった甲府に江戸から「甲府勤番」(甲府城の守衛や城米の管理、武具の整備や甲府町方支配を担う)が設置され、勤番士として赴任した方々が江戸の文化を持ち込み、寿司も広まっていった。
そんな山梨県には『甲州寿司』と呼ばれる、独特なお寿司が食べられています。
ベースは一般的な握り寿司ですが、通常よりもサイズが大きくて、穴子やうなぎだけでなくマグロなど生のネタにも「ツメ」(甘ダレ)を塗って食べるのが特徴。
シャリが大きいのは、元々江戸時代、明治初期の頃の握り寿司は今よりもサイズが大きかったそうで、昔ながらのものという印象。
「ツメ」は鮮度の落ちた魚でも生臭さを消したり、変色したものを美味しく見せる効果、また塩漬けして運んだマグロの塩分を調和するために甘い「ツメ」を塗ったという説もあるとのこと。
輸送技術が発達し、新鮮な生魚が楽しめるようになった現在でも、伝統的な『甲州寿司』は老舗のお店を中心に提供されています。
魚そう 本店
今回訪れたのが、山梨県甲府市中央にある寿司屋『魚そう 本店』。
明治30年(1897年)創業という、100年以上の歴史がある老舗。
直営の支店なのか暖簾分けなのか正確にはよくわからないですが、本店の他にも、2024年1月に調べた時点で、山梨県内各地に「北口分店」、「櫛形分店」、「美咲分店」、「中道分店」、「西分店」が食べログの検索で出てきました。
甲州寿司のお店を調べると必ずと言っていいほど名前が出てくる有名店で、今回は本店を訪問。
アクセス
場所は甲府駅から徒歩20分、金手駅からは徒歩16分くらいの距離。
駐車場は店舗横にあり、満車の場合は秋元駐車場が2割引になると看板に書いてありました。
混雑状況
この日は平日の金曜日、お店には17時前に訪問。
この時店内は先客2組くらいで空いていました。
メニュー・商品ラインナップ
今回はおすすめの一品と書いてあった『並寿し』をテイクアウトで購入。
こちらのお店は通常の2倍くらいの大きさらしく、食べやすいように切っておくことも出来るそうですが、あえてそのままでお願いしました。
タレもかけといていいか聞かれたので、かけてもらうようにお願いしました。
感想
【並寿し】1130円(税込)
写真ではわかりにくいですが、確かにサイズは結構大きめ。
「魚保」というお店で食べた時はとろみのあるタレでしたが、こちらのお店はサラッとした質感でネタによく染み込んでいます。
ほんのり甘さとコクがありますが、しっかり醤油が効いた濃口の味付け。
シャリは程よい酸味で、大きいですがフワッと柔らかさもある握り加減。
ネタは厚さは普通ですがシャリとバランスの良い大きさ。
マグロの赤身は2つありましたが違いはあまり感じず、あっさりと上品な旨味があり、筋が見える方も食感が良くてしっとり柔らか。
サバは脂が乗っていて濃厚、一番美味しかったです。
お寿司の数はそんなに多くないものの、1貫ごとの食べ応えが素晴らしく、1000円ちょいのお手頃価格も魅力的。
翌日に食べた「魚保」のお寿司も美味しくて、これから山梨でお寿司食べ歩きをするのが定番の楽しみになりそうです。
ご馳走様でした!
公式サイト等
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食べログ
魚そう本店
0552-35-4328
山梨県甲府市中央4-10-5
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