訪問日:2026年6月5日(金)
醤油醸造発祥の地 湯浅

「醤油醸造発祥の地」として知られる、和歌山県有田郡湯浅町。
この町の醤油造りの歴史に深く関わっているのが、和歌山の郷土食として親しまれている「金山寺味噌(きんざんじみそ)」です。

その起源として広く伝えられているのが、鎌倉時代の禅僧・覚心(かくしん/法燈国師)による伝来の話。
1249年(建長元年)に宋へ渡った覚心が、径山寺(きんざんじ)などで修行する傍ら味噌の製法を学び、1254年(建長6年)の帰国後に伝えたものが、現在の金山寺味噌につながるといわれています。


由良町の興国寺にまつわる保存食として伝わり、やがて周辺地域にも製法が広まったとのこと。
金山寺味噌を造る過程では、野菜などから出た水分が桶の中にたまり、旨味や甘味、発酵の香りを持つ赤褐色の汁が生まれます。
湯浅の人々がこの汁のおいしさに着目し、調味料として利用するために工夫を重ねたことが、醤油造りの始まりと伝えられています。
1535年(天文4年)には、湯浅の醸造家が醤油を船で大坂へ出荷したとされ、江戸時代には紀州藩の保護を受けて町の主要産業へと発展。
文化年間(1804~1818年)には、醤油醸造業者が92軒に達したそうです。
港町として栄えた湯浅から、海を通じて醤油やその製造技術が各地へ広まっていきました。

現在も湯浅では、木桶を使い、長い時間をかけて発酵・熟成させる伝統的な醤油造りが受け継がれています。
蒸した大豆と炒って砕いた小麦から麹を造り、塩水とともに仕込んだもろみ(諸味)をじっくり熟成。
このもろみを布で搾り出した液汁を生揚げ(きあげ)醤油といい、清澄や火入れなどを経たものが製品になります。
原料の配合や熟成期間、仕上げ方は蔵元や商品によって異なりますが、豊かな香りと旨味が魅力で、刺身や冷や奴など、素材の味を楽しむ料理にもよく合います。

一方、「金山寺味噌」は、そのままおかずとして食べる「なめ味噌」の一種。
和歌山の伝統的な製法では、米・裸麦(大麦)・大豆の3種類をすべて麹にし、瓜・茄子・生姜・紫蘇などの野菜と、塩や砂糖を加えて発酵・熟成させます。
麹と野菜を一緒に仕込むことで味がなじみ、甘味と塩味、発酵による旨味が重なったまろやかな味わいに。
穀物の柔らかな粒感や野菜の食感、生姜や紫蘇の香りも特徴で、作り手によって配合や甘さ、具材の大きさなどに違いがあります。
昔は夏野菜が豊富に採れる時季に仕込み、一年を通して食べる保存食として親しまれていたそうです。
寺から周辺の家庭へ広まり、元々は農家の自家用として作られていたそうですが、江戸時代には産業化し、湯浅町や御坊市などを中心に製造が盛んになったとのこと。
温かいご飯のお供や酒の肴、生野菜や焼き魚の付け合わせなど、食べ方もいろいろ。
和歌山の郷土料理である「茶粥」との組み合わせも、昔から親しまれています。
2017年には「紀州金山寺味噌」がGI(地理的表示)に登録。
同年、湯浅の醤油造りと町並みを伝えるストーリー「『最初の一滴』醤油醸造の発祥の地 紀州湯浅」も日本遺産に認定され、醸造の技術や味わいとともに、地域の食文化が受け継がれています。
丸新本家

今回訪れたのは、和歌山県湯浅町の国道42号線沿いにある、金山寺味噌や湯浅醤油を製造・販売する老舗の醸造蔵『丸新本家(まるしんほんけ)』。
創業は1881年(明治14年)。
新古スミ氏が金山寺味噌のお店を始めたことにさかのぼり、その後、醤油の製造にも取り組むようになったそうです。
醤油づくりは時代の流れの中で1965年頃に一度休止し、金山寺味噌の製造に専念していましたが、1990年に再開。
その復活を進めたのが、現在の5代目当主である新古敏朗氏。
地元である湯浅が醤油発祥の地であることの歴史や価値を、自分自身が十分に知らなかったことに衝撃を受け、それをきっかけに土地と家業の歴史を学び、途絶えていた醤油づくりを自らの手で復活させようと決意したとのこと。
目指したのは、素材と手間を惜しまない、昔ながらの醤油づくり。
大豆を釜でじっくりと煮て、その旨味が溶け出した煮汁も仕込みに使う「古式製法」を取り入れ、伝統的な杉樽で長期間発酵・熟成させる製法を復活させました。
100年以上使われている樽も現役で、蔵や木樽に棲みつく微生物の働きを生かしながら、時間をかけて醤油を育てているそうです。
そして2002年には、「世界一の醤油をつくりたい」という想いから、醤油部門の会社として「湯浅醤油有限会社」を設立。
代々受け継ぐ「ええもん使って、真面目につくる」という信条のもと、湯浅の醸造文化を伝える取り組みを続けています。
『丸新本家』の店舗は湯浅本店、田辺店、とれとれ市場南紀白浜店がありますが、今回訪れたのは湯浅本店に隣接する、「湯浅醤油有限会社」の醤油蔵。









こちらでは無料の工場見学ができ、もろみを仕込んだ大きな杉樽など、醤油づくりの現場を気軽に見られるのが魅力です。
事前予約制の有料体験では、もろみをかき混ぜる「櫂入れ」や、ペットボトルを使った醤油づくりなども楽しめるとのこと。

施設内には湯浅醤油や金山寺味噌を販売するお土産処「醤館」や、和歌山の黒沢牧場のミルクと醤油を組み合わせた醤油ソフトクリームを提供している「蔵カフェ」もあります。
今回はこの無料の工場見学と醤油ソフトクリーム、そして大好物の金山寺味噌をお土産に購入することを目当てに訪れました。
アクセス
場所は湯浅駅から徒歩11分くらいの距離。
駐車場は店舗前にありました。
混雑状況
この日は平日の金曜日、13時40分頃に訪問。
この時お客さんは他にほとんど見当たらず、のんびり快適に見学、買い物、カフェが楽しめました。
メニュー・商品ラインナップ






お土産処は試食も充実していて、好みに合わせて商品を購入することが可能。

今回はお土産処で「湯浅醤油 蔵匠 樽仕込み」と「金山寺味噌」、蔵カフェでは「醤油ソフトクリーム」を購入。
感想

【醤油ソフトクリーム】500円(税込)
まずはそのままでいただきましたが、濃厚ミルキーな味わいをベースに、醤油の香ばしさとコクがキャラメルっぽい味わいにも感じ、とても相性抜群。

お好みで追加する醤油には、人気ランキング2位という「生一本黒豆醤油」を使用。
風味豊かで濃厚な醤油でしたが、意外にしょっぱさは感じず、味が濃厚になって深みも増し、さらに美味しくなりました。

【湯浅醤油 蔵匠 樽仕込み 90ml】432円(税込)

人気ランキング3位で、迷ったらやっぱりコレ!と書いてあった商品。
国産の丸大豆と小麦、五島灘の塩のみを使用、古式製法・天然醸造、木樽仕込みで1年6カ月以上熟成。
濃厚なスッキリ味の醤油であり、湯浅醤油の色々な商品のベースとなる醤油だそうです。
キリッと利いた塩味の後に、濃厚なコクと豊かな風味、余韻のある後味が広がり、これぞ湯浅醤油という美味しさでした。



【金山寺味噌 150g】475円(税込)
創業以来の伝統製法で作られている金山寺味噌で、米、大麦、大豆、茄子、瓜、生姜、紫蘇が入っているとのこと。
茄子は伝統野菜である「湯浅なす」を使用しているそうです。
金山寺味噌も色々な商品がありましたが、こちらは以前からお気に入りの商品で、今回も購入。
濃口ですが甘辛くまろやかで、麹の独特な風味が広がる、とても奥深い味わい。
穀物や野菜が混ざった様々な食感と味が楽しめ、少量でもご飯が進みまくりの美味しさ。
写真ではたっぷりのせていますが、この量だとご飯が全く足りず、がっつり追加しました。笑
商品は他にも種類が豊富なので、またお土産に色々買って帰りたいと思います。
ご馳走様でした!
公式サイト等
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食べログ
湯浅醤油
0737-62-2100
和歌山県有田郡湯浅町湯浅1464


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